また夜になって綿子さんがうちにやってきた。
かつおさんがブツクサ言いながら玄関へ。
そのまま二人で出て行った。

かつおさんは10分ほどで帰ってきた。

好「綿子さん、何の用やったん？」

か「台所でなんか分からんけど、うなり音がするから見に来てくれって言われたんや」

好「うなり音？」

か「ウ～ン、ウ～ンって鳴りよるって。
　　どうせＩＨかエアコンやろと思たんやけど、しょうがないから見に行ったんや。
　　で、ＩＨ見ても異常ないし、エアコン切っても音が止まらんから音の在りかを探し回ったんや」


好「ほんで？何やったん？」

か「何から音がしよったと思う？」

好「え～何？」

か「じいさんのデイのカバンから音がしよったんや」

好「もしかして電気シェーバー？」

か「そう！」

茂造さんはデイサービスに行くとき、いつも電気シェーバーをカバンに入れて持って行っている。
かつおさんが「そんなん持って行かんでええが。ひげは家で剃ったらええやろ」と言って聞かせるのだがいつのまにかカバンに入れている。

そのシェーバーが何かの拍子にスイッチが入りカバンの中でウ～ン、ウ～ンと音を出していたのだった。

か「ほんま、人騒がせな！！」




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