引き続き5月13日のこと

そして慌ただしくかつおさんといぶきの森へ向かった。
翔ちゃんはその間に車の修理をしてくれるそうで、一緒に行かなかった。

いぶきの森へはなんとか1時5分前に着いた。
タンスが運ばれてくるのを待っていると、ちょうど畑田さん(茂造さんの担当マネージャー)が通りかかった。
私服に着替えていたので、退勤したところのようだ。
畑田さんはわたし達に気づくとそばに寄ってきて、茂造さんの様子を話してくれた。
茂造さんは今、絶賛『帰りたい病』を発症中で「家に帰るんや!なんで帰らせてくれんのや!」と怒鳴り散らしたり、かと思えば「これをしたら家に帰らせてくださいね」と穏やかに要求してくるそうだ。
それからおしっこはやっぱり自力で出ないそうで、管を入れたままにしているそうだ。

「勝手に除けたりしないですか?」

畑「それはないですね。少々引っ張っても抜けないような仕組みになってるんですって。無理に引っ張ると痛いそうですよ」

「うんこの袋は大丈夫ですか?」

畑「そちらは相変わらず勝手に除けています。なので数が足りなくなってしまって。この間は無理を言ってすいませんでした」

「とんでもない!こちらこそ申し訳ありません」

「このところ便汚染の洗濯物がなかったので落ち着いたのかと思ってました」

畑「いえいえ、勝手に除けるので凄いことになってます」

「申し訳ないです」

そして畑田さんは今後のことを相談していきたいと言った。
茂造さんのようにストーマを持つオストメイトで、その上おしっこの管理が必要な要介護者を受け入れてくれる施設はあまりないそうだ。
特に医療行為を行えるところはかなり少ないのだとか。
そして特養に入るには、今の介護度が②なので変更申請をして③にあげる必要があるが、茂造さんは自分で歩くことが出来るので③が認められるかは、微妙なところなのだそうだ。
畑田さんは茂造さんにとってベストな方向を各所に相談しながら探していきたいと思いますと言ってくれた。
本当にありがたいことだ。
お前の席ねえから!

そしてタンスが運ばれてきたので畑田さんと別れ、衣替えを行った。
てっきりタンスと言っても衣装ケースに毛が生えたような物かと思っていたが、なかなかしっかりした棚だった。
下にキャスターが付いているのでエレベーターに乗せ1階に運んでこれるようだ。

秋・冬の衣類をどんどん取り出し、除菌シートで棚を拭き、春・夏物を入れていく。
収納力はたっぷりだ。
入所した当初、着替えを多めに用意してほしいと言われたので、大量に持って来ていた。
ズボンやズボン下や靴下はそれぞれ10は用意した。
それら全てタンスに収まっていた。
けれど水筒やコップは持ってきた時のまま、ナイロン袋に入ったままで、使った形跡がなかった。
とりあえず入れ替えが終わったので近くにいたスタッフさんに声をかけた。
水筒やコップは必要ないそうだ。
持ち物リストには載っていたから用意したのだが要らないのなら持って帰ろう。
リストが古いのだろう。

ところでこのスタッフさん、先日、茂造さんのおしっこのことで話しかけてきた方だった。
看護師の資格を持つ方のようだ。
今日も茂造さんのおしっこについての話をしてくれた。
「いつもありがとうございます。父が無理ばっかり言ってるようですいません」
と伝えると、驚く返事が返ってきた。

ス「茂造さんはここのアイドルなんですよ」

ええっ!耳を疑った。

ス「たまに難しい時がありますが、普段は温厚で可愛らしいんですよ。なのでみんなのアイドルなんですよ」

たしかに憎めない、お茶目で可愛いところはあるが、それを帳消しにするぐらいのことをやらかすじゃないか。
でもそう言っていただけて本当にありがたい。
これからも茂造さんをどうかよろしくお願いします。



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