6月8日 木曜日の続き

今日はかつおさんの誕生日だ。
なので仕事帰りにケーキを買った。
ケーキと言ってもショートケーキだが、一応、3つ買った。
ひとつは綿子さんにお裾分けだ。

じつは今朝、かつおさんが綿子さんにゆで卵を持って行った。
しかし、綿子さんは誕生日のことなど忘れているようで何も言わなかったそうだ。
「わしの誕生日はいつも忘れとる!」とかつおさんはブツブツぼやいていた。

そう、ここ近年、いつもかつおさんの誕生日は忘れられている。
翔ちゃんやハルちゃんやわたしの誕生日は覚えていて、毎年小遣いをくれるのだが、かつおさんには無い。
ま、三人は誕生日が近いから一人思い出すと他も思い出すのだろう。
かつおさんは「わしにはおめでとうの一言もないんや」とすねている。

「かつおさん、もうええ歳なんやから綿子さんに祝ってもらうんでなくて、生んでくれてありがとうって感謝する日やで」

「そっか。それもそうや」

こんなやりとりをした。
なので綿子さんにもケーキを買ったのだ。

かつおさんがいそいそと届けに行った。
ケーキを見れば思いだすだろう。

「おかん、これ食べてくれ」

綿「ありがとのぉ。もう晩御飯食べたから明日の朝、食べるわ」

「おかん、今日は何の日か知っとるか?」

綿「知らん」

かつおさんはがっかり。

「わしの誕生日やが」

綿「ほうか」

ほうかの一言で片づけられてしまったそうだ。

「わしを生んだ日やろが。忘れたんか?生んでくれてありがとのぉ。まあ、これ食べてくれ」

綿「ありがとのぉ」

最後まで小遣いはもらえず、おめでとうの言葉も無かったそうだ。
憐れ、かつおさん…。
一度で済んじゃう


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