かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(92歳)と綿子さん(89歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

2024年08月

昨日の続き

それにしても今日の茂造さんは全く寝る気配がない。
2か月ぶりの帰宅が嬉しいようでかなりテンションが高い。
寝そうにないので早々におやつのケーキを出した。
誕生日といえばケーキ!
でもホールケーキは食べすぎると困るのでショートケーキを用意した。
ケーキは茂造さんの大好物だ。

「おお~!!これはええ!!」

ハッピーバースデーの歌を歌う間もなく食べ始めてしまった。

「ちょっと待て!フイルム剥がさな!」

かつおさんがあわててフイルムを除けてあげた。
食べている時だけ静かだ。
飢えてんなあ…

あっという間に食べてしまい、「美味かった!!」と言うと、また大声で喋り続けた。
本当に今日は絶好調のようだ。
その分周りは大変だ。
無限ループの話に付き合うのは疲れる。

茂造さんの話の中で一つ印象に残った言葉がある。

「わし、できるだけ長いこと生きたいんや」

そうしみじみ言ったのだ。
この前向きな生存欲が長生きの秘訣なのかもしれない。

「やっと帰って来れたが~。一体何年あそこでおったんかのぉ?」

ひょっとして退所したつもりか?
また施設に戻る時にひと悶着あるのではと不安になる。
が、夕方4時前、かつおさんが「じいさん行くぞ」と言うと素直に車に乗り、あっさり施設に戻って行ったのだった。

ホント今日は驚きの連発だった。
茂造さんが喜んでくれていたようなので良かったが。
とにかく疲れたーー!


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昨日の続き

その後も茂造さんは同じ話を何度も繰り返しながら大声で喋り続けた。
全然寝ない。
途中、典さんにLINE電話をかけてビデオ通話を試みたが、典さんを見てもいまいち誰か分からないようで「典さんやで」と言っても「これ典夫か?」とかつおさんに尋ねるばかりで会話にならない。
こりゃダメだ。
ビデオ通話が理解できないようだ。
残念。

そして電話を切った後はゆうくんを見て

「それはゆうきか?」

「そやで」

「わしのひ孫やの」

「そうやで」

「わし写真持っとんや。見るか?」

そう言ってズボンのポケットからミニアルバムを取り出す。

「これ大事にいつもここに入れとるんや」

「そうな。ありがとう」

「わしにそっくりやが」

「ほんまや」

しばらく沈黙する。
そして約1分後。

「それはゆうきか?」

「そやで」

「わしのひ孫やの?」

と、さっきと同じ会話が繰り返された。
写真を取り出してわしにそっくりやと言うまでが一連の流れだ。
そしてそれは8回繰り返された。
ハルちゃんもよく付き合ったものだ。
無間地獄

「たまにやから耐えれるけど、これが毎日やったらキレるで!!(笑)」

だそうだ。
お疲れ!ハルちゃん。


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昨日の続き

しばらく為五郎のクソ話が続いたが突然

「綿ちゃんはどこや?田んぼか?」

と言い出した。

「ばあちゃんは入院しとるぞ」

「綿ちゃん入院しとんか?」

さっき同じやり取りしたやん。
違っているのは『綿子』ではなく『綿ちゃん』になっているところだ。
茂造さんが綿子さんのことを『綿ちゃん』というのを初めて聞いた。
綿子さんの兄弟は「綿ちゃん」と呼ぶが、それ以外の人は綿ちゃんとは言わない。
茂造さんも綿ちゃんなどと言ったことは無かった。
いったいどうしたんだ⁉
この間まで綿子さの『わ』の字も言わなかったのに。
それどころか会っても誰か分からなかったじゃないか。

「わしはお金は全然持ってないんや。全部綿ちゃんが握っとるんや。この家は綿ちゃんが回しとるんや。綿ちゃんがおらんかったらこの家は回らんのや」

『綿ちゃん』を連発している!
それにしても茂造さんよく分かっているじゃないか。
けどそれはちょっと前までの事だけどね。
愛妻家設定で極楽切符


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昨日の続き

またも茂造さんによる点呼が始まった。
「あんた誰な?」
「かつおや」
「お前はだれかな?」
「翔平や」
「お前は秀夫やろ?」
「違うわ、かつおや!秀夫は弟やろが」
「そしたらお前は誰や?」
「かつおや。じいさんの息子や」
そんな会話が続いていたのだが今日はそこからちょっと話題が替わった。

「綿子はどこや?田んぼ行っとるんか?」

入所して以来、今まで茂造さんの口から綿子さんの名前が出たことは無かったので驚いた。
どうしたんだ?
急に思い出したのか?

「病院や。入院しとるわ」

「どこが悪いんや?」

「また骨折ったんや」

「ええ!また骨折ったんか?⁉」

「そうや、だから病院におるんや」

「どこの病院や?またいっぺん連れて行ってくれ」

まさかこんな事は言い出すとは⁉
綿子さんのことを聞かれるとは思っても無かったので打ち合わせはしていなかった。
翔ちゃんとハルちゃんが機転を利かせてくれた。
同じ施設にいる事は絶対に知られてはいけない。
ま、なんとかかわせたようだ。

そして茂造さんは昔の話を始めた。

「わしのじいさんはええ人やった。わしを大事にしてくれたんや。オヤジには怒られるばっかりやった。しょっちゅうまな板みたいな板で頭をどつかれとったんや。だからわしの頭はへこんどるんや」

別にへこんではないと思うが…。
それにしてもやはり為五郎はクソエピソードしか出てこない。
ろくな人間じゃなかったようだ。
為五郎はクズ


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7月27日 土曜日

今日は茂造さんの92歳のお誕生日!!
おめでとう!!
という事で家に連れて帰ってお祝いを!
10時半ごろかつおさんと翔ちゃん(朝から駆けつけた)で茂造さんを迎えに行った。
わたしとハルちゃんとで茂造さんちで迎える準備だ。
今日のお昼ご飯には近所の食堂で鰻入りのお弁当を買ってきた。
それと大好物のショートケーキも用意した。
これでバッチリだ。

茂造さんは家に着くなり大きな声で「ここは覚えとる!」とか「あぁ思い出した!」と記憶の確認に忙しい。

「やっと家に帰って来れたが~。何年あそこで居ったんかのぉ?」

イヤイヤ、外出しただけで夕方には戻るんやで!
まさかもうずっとここにいるつもりじゃないよな?
恐ろしい事を言わないでほしい。

そしていつものようにわたし達の点呼が始まった。

Ⓐ「あんた誰な?」
「かつおや」
「あんた誰な?」
「好子や」
「あんた誰な?」
「翔平や」
「あんた誰な?」
「ハルや」
Ⓐに戻る

延々ループだ。
聞いたそばから忘れてしまう…。
ま、とにかくお昼にしよう。

テーブルに着いた茂造さんの前にお弁当を置くと「おお~美味そうや~」と目を輝かせた。
そして目の前に座っている翔ちゃんに向かって「ビール無いんか?」と言い出した。

「ない!」

「なんで用意してないんや!ビールか酒は無いんか?飲みたいが!」

まさかアルコールを欲しがるとは⁉
入所してからお酒は飲んでいないし、入所前もほとんど飲まなくなっていたのに。
それに飲ませるのは施設的にNGだろう。
実は目の前で翔ちゃんは缶ビールを飲んでいた。

「お前それ何飲んどんや?」

「ジュースや」

「ほうか。酒と違うんか」

騙されてくれた。
ホッとした。
そしてコップにお茶を注いでみんなで乾杯した。

「じいさん誕生日おめでとう!」

「わしの誕生日は7月17日や」

「いやいや違うやん。27日やが。今日やで」

「ほうか?」

相変わらず17日が誕生日だと思っている。
なかなか修正できないようだ。

茂造さんは黙々とお弁当を食べた。
時々「美味いのぉ!」と言う。
施設ではずっと喋りながら食べているらしいのに今日はどうしたんだ?
あまりの美味しさに口数が減っているのだろうか?
このお弁当、施設で食べている量に比べるとはるかに多い。
なので「無理して食べきらんでええからな。残してええんで」と声をかけた。
が、どんどん食べる。
食べすぎでは?大丈夫か?心配になる。
ほぼほぼ食べ終わったが鰻は残っていた。
もしかして鰻は嫌いだったのか?
けど心配は無用だった。
最後に美味しそうに食べた。
好きなものは取っておくタイプなのね。
そして完食してしまった。
これでいつものように昼寝に行くだろう。

「じいさん、寝るか?」

「おう、疲れたから寝るわ」

ベッドへ誘導し寝かせた。
やれやれ、やっと一息つけると思ったら茂造さんはすぐ起きてきた。

「どうしたん?」

「せっかくやからみんなのとこにおるわ」

マジか⁉
こんなことを言い出したのは初めてだ。
茂造さんをリビングに連れて行った。
そしてまたも点呼が始まったのだった。
一休みさせてくれ!!
ひとりでいけよ

続く

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