かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(93歳)と綿子さん(91歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

2025年10月

そして2階の茂造さんとところへ。
ガラス扉を抜ける前に、詰め所で茂造さんのストーマパウチを渡した。
今回から以前のツーピースのものだ。

ス「ありがとうございます。今のがあと数枚残ってるのでそれを使い切ってからこちらに替えますね。こちらは以前使ってたから大丈夫でしょう」

「こっちの方が接着面も広いし、たぶんこれで漏れも減ると思うんです」

ス「そうですね。こっちの方が粘着力も強いですからね」

ホントこれで便汚染から解放されますように。

そしてガラス扉の中へ。
デイルームの指定席に茂造さんの姿はなかった。
が、廊下の奥から茂造さんの声が聞こえる。
部屋にいるようだ。
かつおさんは新しい部屋に行くのは初めてだ。

「おお~ここか」

中に入ると茂造さんはベッドに寝転んで目を瞑ったまま何やら喋っていた。
隣の方はいなかった。
ちょっと安心。

茂造さんはなんとなく気配を感じたのか目を開けた。
かつおさんはとりあえず詰め所に入れ歯を受け取りに行った。

「家に連れて帰ってくれるんか?」

「いや、それは出来んわ。かわりに美味しいもん持って来たで」

「帰りたいんや。車に乗せてくれんのやったら歩いてでも帰るわ」

ダメだ、今日は家に帰りたいモード全開のようだ。
困ったなぁ。
そこへかつおさんが入れ歯を持ってきたので

「まあまあ、とりあえずこれ食べなよ」

栗おこわを出すと即行で食べ始めた。

「美味いのぉ~」

おこわが残り少なくなったところで柿も出した。

「はい、これはデザートや」

聞いちゃあいないよね。
すかさず柿に箸がのびた。

「おお~美味いのぉ~」

栗おこわそっちのけで柿を一気に食べた。
ホント欲望のまま、素直な人だ。
栗おこわより甘い柿の方が好きなのね。

柿を食べ終わると残っていた栗おこわも残さず食べた。
満足したようだ。
また「家に帰ろうと思うんや」が始まった。
「連れて帰ってくれ」
「それは出来ん」
「なんでや⁈」
「先生が帰ってもええって言うたらな」
「ほな先生に聞きに行くわ」
「今日は土曜日やから先生は居らんわ。月曜に聞いてみな」
「帰ってもええと思うわ」
「いや、勝手には帰れんぞ」
「ほな歩いて帰るわ」
よっぽど帰りたいのね。
今日はひたすらこんなかんじの会話が続いた。
キリがないのでもう帰ろう。

「そしたらじいさん稲刈りせないかんから帰るわ」

かつおさんは田んぼの用事と言えば別れやすいと考えている。
田んぼ=忙しいという事らしい。
が、今日の茂造さんの返しは想像を超えるものだった。

「は?稲刈り?今は麦刈りやろが!」

おいおい、今、何月やと思ってんだ?
けど話を合わす方が楽だ。

「そうや、麦刈りやったわ。ほな忙しいから帰るわの」

「わしも一緒に帰って手伝うわ」

マジか!
手伝いが出来ると思っているのか?
足手まといにしかならないじゃん。

「それはムリや」

「なんでや!出来るわ!」

「じいさんコンバイン乗れんやろが。わしがちゃんと刈るから大丈夫や」

「ほうか」

かつおさんも少しは茂造さんのあしらい方が分かってきたようだ(笑)

「ほな、わし寝るわ」

「おお、そうせえ」

「ほなまたね」

ちょっと前に「最近以前の勢いが無くなってもう長くないかも」って言われ、でもそんな事はないだろうと半信半疑だったのだが、やはりそんな事は無いと確信した。
こりゃあまだまだ死なないね。
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綿子さん、マズイということは感じているようで話題を変えようとする。
でも全く会話は弾まない。
で、終いに

綿「今からじいさんとこも行くんか?」

「おう、行くわ。いつも行っとるわ。知っとるやろが。そうや、ばあさんも一緒に行くか?」

綿「いや、行かん。私が行ったら4階まで押しかけて来るようになったら困るが」

「そんな事はないわ。ばあさん見たって誰か分からんし」

綿「そんなことないわ」

「そんなことあるわ。こないだやって初め誰か分かってなかったやないか。わしの事やって分からんのに」

「茂造さんが分かるのはゆうきだけやで」

「おお、そうや。分かるんはゆうきだけやが」

綿「そんなにボケとんか?」

「そうや」

綿「ホンマか?」

「ほな行くか?行ってみたら分かるわ」

綿「ええわ」

結局会いたくないだけやろ。
そう言えばいいのに。
何でも茂造さんのせいにせんでええやん!
今日はイチイチむかつく。

それにこの会話何回目やねん。
茂造さんが自分の事を忘れているという事を受け入れたくないから忘れるんだろうか?

綿「はぁ~~~」

大きなため息をついた。
そして

綿「私が先かじいさんが先か分からんけど死んだら後はお前に頼むわの」

「後ってなんや?何を頼むわなんや?」

綿「いや・・・」

「ハッキリ言わな何のことか分からんが」

綿「・・・」

後は頼むってほんまに何をやねん。
今やって茂造さんのことも田んぼのことも地域のこともお墓のこともやっとるし。
他に何かあるん?
あかん、今日は何もかもむかつく。

「ほな、じいさんとこに行くわ」

綿「ほうか」

今日はいつも通りヨロヨロ立てる。
こないだもこうしとけよ!!
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午後からかつおさんと茂&綿の面会へ。
ハッキリ言って今日は綿子さんに会いたくない。
優しく出来る気がしない。
それはかつおさんも同様のようだ。
おやつを準備していたのだが元々は柿を持って行こうと買ってきていた。
が、麦さんが栗おこわを持って来てくれたのでそれを一人分ずつタッパーに詰めた。

「柿はどうする?」

「せっかくやからじいさんに持って行こうや。ババアは無し!」

うん、そうしよう。

いぶきの森に向かいながら、先日の調査員の前での綿子さんの振る舞いについては一応、本人に文句を言おうと話し合った。
自分が行ったことの意味を理解してもらわないと。
そのせいでここに居られなくなるかもしれないという事を伝えないとね。
けれど返って家に帰れると喜ぶかしら?

いぶきの森に着き、まずは1階ロビーで綿子さんとの面会から。
とりあえず栗おこわを出して麦さんからだと伝えた。
後はいつもなら色々話を振るのだけど、今日はそんな気になれず。
気を遣う事を止め、放置していたら無言の時間が過ぎる。
で、やっとかつおさんが喋り始めた。

「ばあさん、こないだは何や。あんな何でも出来るみたいにしたらイカンやろが。いつもは立ち上がる時にヨロヨロするくせに、こないだはスッと立っとったやないか!わしビックリしたわ。いつもと全然違うかったやないか。なんで調査員の前であんなことするんや?なんでも一人で出来ると思われたら、ここに居れんようになるんやぞ」

こうして文字で見るとかつおさんがかなり激しく攻め立てたように思えるかもしれないが、実際は割と優しく気を遣いながらしゃべっていた。
綿子さんはかつおさんが何のことを言っているのか理解してない様子。
ポカンとしている。

「ほら、こないだ色々質問しに来た人がおったやろが」

綿「おお~。こないだ見たことない男の人が来とったのぉ」

「はぁ~?男?違うわ!女の人やが」

さっぱり話がかみ合わない。

「こないだ女の人が来てばあさんに「立ってみてください」とか「手をあげてください」とか言うとったやろが」

綿「あぁ~」

「その時のことやが。ここの人に「何でも出来るって言うたらいかんで」って言われとったやろが。なんでいつも出来んことまでやって見せるんや!」

綿「・・・」

「わしもビックリしたわ。曜日を聞かれてもスラスラ答えるし」

綿「・・・」

「要介護が外れて要支援になったらここに居れんのやぞ。どうするんや?一人でやっていけるんか?ほんまに何であんなことしたんや」

綿「ええとこ見せたいが」

ガクッ!!
何それ!
勘弁してよ!

見栄を張った後のことは想像できないのか?
やはり痴呆が進んでいるという事なのか?
そこのところを調査員の方にぜひ気付いてもらいたいものだ。
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10月4日 土曜日

朝、麦さんがお米を取りにやってきた。
タイミングが悪くちょうどかつおさんが田んぼへ出かけていたので戻ってくるのを待つことに。
わたしと麦さんでは30㎏の袋を運べないもの。

麦さんはお手製の栗おこわを持って来てくれた。

「ありがとうございます。午後から綿子さんの面会に行くから持って行って食べさせますね」

「綿ちゃんどうなん?」

「パーキンソンの事は聞きました?」

「こないだかつおちゃんから聞いたわ。絶対、退所やしたらいかんで。家に戻ってどうやって生活するんな。かつおちゃんや好子さんの負担が増えるばっかりやがな。もうな、治療せんでええがな」

ありがたい。
わたし達の考えに賛成してくれている。

「ところでどんな様子か動画は見た?」

「え、見てないわ」

かつおさんとは電話で話しただけだったのね。
そこで綿子さんの様子を撮影した動画を見てもらった。

「うわ~これ勝手に動いとるんやろ?」

「そうみたい。本人は自覚無くって、動いとることにもあまり気付いてないみたいなんや」

「やっぱりあそこを出るのはイカンわ。こんなのに一人では無理や」

「おばさんもそう思います?けどね、この間、介護認定の更新があって、調査員が聞きとりに来たんですけどね」

先日の聞き取り時の様子を話すと麦さんも驚いていた。

「出来る、出来る言わんと出来ませんって言うとけばええのに。あそこに居れんようになったらどうするんよ、なぁ!家に戻ることになったら結局自分が困るのに」

さすが麦さん、ちゃんと分かってらっしゃる!
けど麦さんももう82歳。
近い将来、介護認定を受けるときはこれを思い出して見栄を張らないように気をつけてくださいね。
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畑田さんと別れ、ちょっとだけ晴れた気持ちになってエレベーターに乗り込んだ。
中には4階のスタッフさんがいてワゴンを運んでいた。
ワゴンには大きなバケツが載っていて中には残飯が入っている。
厨房に運ぶのね。

「お疲れ様です」

と声をかけるとそのスタッフさんが

ス「綿子さん、とてもしっかりしてたそうですね。私も要介護が付くように祈ってます」

と言った。

「あ、ありがとうございます」

ちょっと待って!
このスタッフさん、あまり関わったことがない人だ。
そんな人でも先日の綿子さんのことを知っているとは!
噂になるほど凄かったという事なのでは?
なんだかまた不安が増してきた。
一昨日、かつおさんからヤバいかもと聞いた時は、それでもまあ大丈夫でしょうと高を括っていたが、今日スタッフさん二人からこうも言われると本当にヤバい気がしてきた。
マジで要支援なんて勘弁して!!
神様、お願いします。
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