昨日の続き

午後2時半過ぎ、翔ちゃんとハルちゃんがやって来た。
久しぶりに茂造さんの顔を見に来てくれたのだ。
翔ちゃんは夏に一度いぶきの森へ面会に行ったことがあるが、ハルちゃんは茂造さんが入所して以来会って無かったので7か月ぶりだ。

二人が来てくれたことだし、そろそろ起こしてケーキを食べさせようと部屋に向かっていたら、ちょうど茂造さんが起きてきた。
翔ちゃんとハルちゃんを見ても誰か分からないようだった。
翔ちゃんに向かって「秀夫か?」と言う。
茂造さんの口から出るのは、兄弟の名前が多い。
子供の頃のことの方が記憶に残っているのだろう。

リビングのソファーに座りみんなでケーキを食べた。

「おお、美味げなのぉ」

真っ先に食べ始めた。

「美味いのぉ!」

やっぱりケーキは大好きなのだ。
用意してよかった。

そしてケーキを食べ終えるとまた始まった。

「お前はかつおか?」

「翔平やで」

「あれは誰や?」

「ハルちゃんや」

「おお!ハルちゃんか!」

「あれは誰や?」

「かつおさんや」

「かつお言うたらわしの息子かのぉ?」

「そうやで。よう分かっとるやん」

ほめると嬉しそうな顔をする。

「これ誰や?」

「好子や」

「あれ誰や?」

「翔ちゃんや」

「翔ちゃんはわしの息子や」

「違うで、孫やで」

「もうわしの頭はバカになってしもうてイカンが」

昼と同じで名前の確認作業ループが延々続いた。
そしてハルちゃんを見て

「これ誰やったかのぉ。そうやチョコや!」

皆きょとんとした。
何を言い出したんだ?
けどハルちゃんを見て気付いた。
ハルちゃんが着ていたトレーナーに大きく羊のイラストと『チョップ』と文字が書いてあったのだ。
IMG_4390
チョップがチョコに見えたようだ。
みんな大爆笑だ。
本人はボケで言っているつもりはないのだけれど面白くてたまらない。
さすが茂造さん!
笑わせてくれるぜ!
そしてこれ以降、いくら訂正してもハルちゃんは『チョコ』になってしまった。

今回、半日程度だが家に連れて帰って、色々刺激も多かったのではないかと思う。
きっと施設ではこんなに会話をすることもないだろう。
少しでも茂造さんのためになったのなら連れて帰って良かったと思う。


↓ポチッと押して頂けると嬉しいな(*^ω^*)
にほんブログ村 介護ブログへ
にほんブログ村