ひき続き28日のこと

そうそう、ケアマネの川上さんが綿子さんの様子を見に来た時のこと。
綿子さんの歩く姿をチェックしたり、今後どうするかを台所で話していた。
すると川上さんが「この椅子は危ないんと違うかな?」と言い出した。
綿子さんのお気に入りのデスクチェアーのことだ。

以前、綿子さんちの台所の椅子は、ほとんど貰い物や拾い物ばかりだった。
どれも壊れかけていて、ガムテープで補修したり、ナイロン紐で縛ったりして使っていた。
我が家では子供がある程度大きくなった時に椅子を買い替えたのだが、以前の椅子は座面が布張りでそこが食べ汚しで汚かったのとクッションがへたっていたのと、かなり重い椅子だったので買い替えた。
その重い椅子は納屋に置いていた。
ちょっと腰かけるには十分使えるからだ。
すると綿子さんは早速それを自分ちの台所に運び込んで使い始めた。
そんな感じで綿子家の台所の椅子はバラバラなのだ。

昔はそれでも良かったが、高齢になると重い椅子を動かすのも大変そうだったので、椅子をプレゼントした。
初めは普通のダイニング用の椅子を買おうと思ったが、デスクチェアーの方が下にキャスターがついているし、ひじ掛けもあるのでいいんじゃないかと思い、これをプレゼントしたのだった。
綿子さんは台所でテレビを見る時間も長いのでこの椅子なら、もたれた時も少しリクライニングするので楽そうだ。
実際、とても気に入ってくれて、二人とも喜んで使っていた。
もちろんキャスターが転がり過ぎないように、タコ糸を絡ませ、あまり転がり過ぎないようにしていた。
そこは気をつけていたつもりだ。
毎日、そのデスクチェアーに座り、もうひとつの椅子に足をのばしてテレビを見るのが綿子スタイルだ。

なのに「危ないんじゃ?」と言われてしまった。
そんなこと無いですよ、そこは気をつけてますと言う暇もなく、綿子さんが
「私もそう思うてな、今はこの椅子使ってないんや。こっちに座って食べよるんや」と言った。
ハァ⁈
嘘ばっかり!
よくもまぁ、そんなウソがスラスラ口から出てくるもんだ。
そっちの椅子に座っとるとこなんか見たことないで!
かつおさんは綿子さんがあまりにも流ちょうにウソをつくのに驚き、つっ込めなかったかったそうだ。
やはり普段からしょっちゅうウソをついているからだろう。
確信した。
病的な嘘つき

しかし、夕方、見守りカメラを見てまたまた驚かされた。
なんといつもは座らないのに、今日川上さんにこっちに座っとるんやと言った椅子に座ってご飯を食べていた。
嘘を誠にしたのだ。
面白い人だ。


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