結局、草野さんとの面談は約1時間もかかった。

初めの説明は端折ったのにそんなに時間がかかった訳は、途中で中断することが度々あったからだ。
中断の理由は他の人に話しかけられたためだ。

まずは茂造さんのマネジャーの畑田さんだ。
個室ではなくロビーにあるテーブルで話していたため、横をスタッフが通る。
畑田さんはわたし達に気づくとと寄ってきた。
「綿子さんもこちらに入所されるそうですね。米さんが喜ぶと思います」から始まり、茂造さんの様子などを話してくれた。
そして「まだ外出の許可が下りないのですみません。外出できるようになったらお伝えしますので茂造さんをまたお家に連れて帰ってあげてくださいね」と言った。
実はお正月を過ぎてから何度か「もう外出は可能ですか?」と尋ねていた。
しかし「まだダメなんです」と断られ続けていた。
そんなやりとりをしていたから気にかけてくれていたのだろう。
それにしてもやっぱりいぶきの森はもの凄く慎重なんだなと実感する。
茂造さんが家のことを忘れないうちに連れて帰りたいのだが、まだ先になりそうだ。

畑田さんが去って、草野さんと話を再開していると今度はケアマネージャーの川上さんが通りかかった。
川上さんは「綿子さん、入所が決まったんですね。良かったですね。ちょうどよかった。ちょっといいですか?」と話を始めた。

「今、お家で使っていた手すり等のレンタル品を回収に行かないといけないんです。あれは居宅の方しか介護保険が適用されませんので、入所したら返さないといけないんです」

「はぁ、そうなんですか。そりゃそうですよね」

「業者が回収に伺うことになりますので日時が決まったら連絡させてもらいます」

好「あの~、リビングの上り口のポール型の手すりは茂造さんが帰宅した時に使うのでなくなると困ると思うんです。あれだけ買い取ることってできますか?」

「いや~あれは買い取ることも出来なくはないと思うんですが、たぶん10万円くらいすると思いますよ。工務店とかに頼んで何か設置してもらった方が安く済むんじゃないかなぁ。以前、工事した業者さんに頼んでみてはいかがですか?」

「えっ⁉10万!それならわしが何か作るわ」

「そうやな。10万は高いな。かつおさん頑張って作って」

まさかの値段に驚いた。
やっぱり介護用品とか手すりって高いよね。
けれど月に1回使うかどうかのために10万はもったいない。
他の方法を考えよう。

その後、また草野さんと話をしていると今度はさくら苑のスタッフさんが通りかかった。
かつおさんに気付くと挨拶してくれた。
そして「綿子さん、とうとう入所されるんですね」と言った。
「そうなんです。今までお世話になりました」

こんな感じで何度も草野さんとの話が中断してしまったのだ。
そのため長くなってしまった。
けれどみんな綿子さんのことやわたし達のことを気遣ってくれてありがたかった。
ケアマネの川上さんとさくら苑のスタッフさん達とは一応縁が切れるが、綿子さんを見かけるときっと声をかけてくれるだろう。
こうやっていぶきの森に来ることもあるようだから。
たくさんの人に支えられているなと思う。
だから入所してもきっと大丈夫だろう。
なんだか安心だ。
ブログアイコン

↓ポチッと押して頂けると喜びます\(^^)/
にほんブログ村 介護ブログへ
にほんブログ村