ひき続き16日のこと

綿子さんの面会を終え、次は2階の茂造さんのもとへ。
大きなガラスの扉を開け中に入る。
入ってすぐのデイルームには、ほとんどの入居者さんが席についていた。
えっ?
なんで??
茂造さんも先日と同じ場所に座っていた。
とりあえず声をかけた。

「茂造さんこんにちは!会いに来たで」

「じいさん元気か?」

すると茂造さんは

「えぇ?あんた誰かな?」

やっぱり誰だか分からない。

「かつおや。じいさんの息子やが」

「おう!そしたらわしが生まれたとこに連れて帰ってくれるんか?」

「違う、違う!今日は会いに来ただけや」

「なんや違うんか。こっちは誰や?」

「好子やで。かつおさんの嫁や」

「好子さんな、ありがとうな」

「いえいえ」

「ほうか、今日は生まれたとこに帰れんのか~」

申し訳ないが無理です。

それにしてもなんでみんなここ(デイルーム)に集合してるんだろう?
おやつの時間にはまだ早いじゃないか。
せっかく茂造さんにもおやつを持って来たのにみんなの前では出せないではないか。
そこで近くにいたスタッフさんに尋ねてみた。

「みなさんどうしてここに集まってるんですか?」

ス「今からお茶の時間なんです」

そんなのがあるのか!
ちょっと驚いた。

「おじいさんにおやつを持って来たんですがここじゃまずいですよね?」

ス「それならお部屋であげてください。お茶の準備にもう少し時間がかかりますので大丈夫ですよ」

「そうですか。そしたら部屋へ連れて行きますね」

早速茂造さんを部屋へ誘導する。

「さあ、じいさん、ちょっと部屋に行こう!」

「えっ?部屋か?寝るんか?」

「そうや」

ムッチャ適当に答えるやん。

茂造さんは立ちあがるとちゃんと導尿のバッグが入ったカゴとお尻に敷いていた座布団を持ってついてきた。
これは忘れずに持つのが習慣になっているようだ。
座布団には『いぶきの森』と書かれてある。
施設から借りているようだ。
ハニカム構造の体圧分散クッションだ。
茂造さんはずい分痩せたから座布団が無いとお尻が痛いのだろう。
今度家に戻る時までに同じ座布団を用意しておこう。
茂造ファッション

そして部屋に入ると同室の人はベッドで寝ていた。
まったく起きる気配がない。
多分耳が遠いのだろう。
そうじゃないと茂造さんと同室で寝られるわけがない。
クセの強い二人が同室なんだろうと想像する。

続く

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