2階でエレベーターを降りるとここでも演歌が流れていた。
そしてこちらも4階と同様にデイルームに人が大勢いた。
同じタイミングで同じDVDが流れているようだ。

茂造さんは演歌にあまり興味が無いようでテレビ画面に背を向けて座っていた。

「茂造さん、こんにちは」

「おっ!ゆうきか!」

良かった。今日は調子良さそうだ。

「わし、写真持っとるんや。見るか?」

ズボンのポケットからゆうくんのアルバムを取り出した。

「あら、ほんま。いつもこれ見よん?」

「おう。こうやって見よるんや」

やっぱり今日は調子いいいじゃないか。
ホッとした。

「すいません、一つお願いがあるんです」

振り返ると看護スタッフの大井さんが立っていた。

「なんでしょう?」

大井「茂造さんが使っているそのカゴなんですけど、長く使っているのでもうボロボロになっっちゃってて。新しいものを用意してほしいんです」

茂造さんは自力でおしっこが出なくなって以来、ずっと導尿の管を入れていてその尿が溜まるバッグをカゴに入れている。
そして移動するときはいつもそのカゴを手に持って移動しているのだ。

大井「今のカゴは施設のをお貸ししていたんですけど、ずっと使うものですし、次はご家族様の方で用意していただきたいんです。100円均一のもので大丈夫ですのでお願いできますか?」

「わかりました。次までに買ってきます」

大井「よろしくお願いします」

明日にでも適当なものを買って来なくては。

大井「茂造さん、ひ孫ちゃん来てくれて良かったなぁ」

「へえ。けど今日は抱かん!」

はいはい、けど結局は抱くくせに。
いつもとりあえず拒否るのはなんでだろう?
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