そして次に茂造さんのもとへ。

茂造さんはベッドで横になっていた。

「茂造さん、こんにちは」

「来てくれたんな。これは誰な?」

「誰か分かる?」

「ゆうきかの?」

「正解!」

やるやん!茂造さん。
今日は結構しっかりしているようだ。

「じいさん、元気か?」

「あんた誰な?」

「誰か分かる?」

「かつおかの?」

「そうや。正解!」

凄いじゃん!
絶好調だ。
しかし「わし寝るわ~」と言って横になったままだ。

「お寿司持って来たんやけどなぁ」

「えっ?お寿司?ほな起きよか」

げんきんな(笑)
茂造さんはさっさと起き上がりベッドに腰かけた。

「はい、どうぞ。今日はお祭りなんやで」

「こりゃあ美味そうや!!」

人の話を聞いちゃあいない。
茂造さんに一つ身を見せたところでなんのこっちゃ分からないだろう。
なので一つ身の話はしなかった。

茂造さんは勢いよく食べ始めた。

「うわ~お寿司や~!こりゃぁええ!!」

食べながらもにぎやかだ。

「これはエビやないか!凄い!!」

親指の爪ほどの小さいエビに感動している。

「これは刺身や!凄い!!」

いえいえ、それはしめさばです。
刺身はNGですから。
茂造さんは「凄い!」を連発しながらパクパク食べた。
ゴマのように小さなニンジンまで残さずキレイに食べてしまった。

「うわ~美味かった~!良かった~!!」

こんなに喜んでくれると持って来た甲斐がある。
また持ってくるね。

あと気になった事が一つ。
茂造さんの隣のベッドが空になっていた。
転所したのかそれとも亡くなったのか。
今回の人とは一度も喋ったことがないし、いつも寝ている姿を見るばかりだったのだがなんか寂しい。
ブログアイコン

↓ポチッと押して頂けると喜びます\(^^)/
にほんブログ村 介護ブログへ
にほんブログ村