散歩から戻り綿子さんをホールに送り届け、2階の茂造さんの元へ向かった。
茂造さんは部屋で寝ていた。
なのでかつおさんと「どうする?起こす?やめとく?」と小声で相談していたら「腹減った!」といきなり起き上がった。
ビックリだ。
耳も遠いのになぜ気付く。
ま、ちょうどよかった。

「おやつ持って来たで」

「お~分かっとったんか!」

????

「全部盗られて無しんなってしもたんや。悪いやつがおるんや!あれ日本人とちゃう、外国人や。何もかも全部持って行ってしもて!!」

何を言ってるんだ?

「よう来てくれたのぉ。誰かが連絡したんか?」

全く意味不明だ。

「まあまあ~、よう分からんけどこれ食べて」

食べ物で話題を変えよう。
桜餅を差し出すと目が輝いた。

「ちょっと待てよ。入れ歯もらってくるから待っとけよ」

かつおさんが入れ歯をもらいに行った。
茂造さんは食べたくてうずうずしている。
入れ歯をはめるとすかさず桜餅にかじりついた。

「美味い!」

そしてまた大泥棒がどうのこうの。
知っとったんか?
わしが困っとん知って持って来てくれたんか!
全部盗られてしもうたがー!!
と繰り返す。
結局その話から抜けだせなかった。

どうも茂造さんの言っていることを要約すると『外国人の泥棒が来て茂造さんの食べ物を根こそぎ盗って行った』という事のようだ。
どうしてそんな思考になったんだろう?
夢でも見てたのだろうか。
テレビで農作物がごっそり盗まれたというニュースでも見てこんなストーリーが出来上がってしまったのかな?
とにかく盗られたのが食べ物ってところが茂造さんらしくてちょっと笑える。

とにかく今日はずーーっと「大泥棒が盗って行ったんや」と繰り返していた。
食べ物が全部無くなって困っていたら桜餅を持ったわたしたちが現れたのでびっくりしながらもとても感激したといった様子だった。
感謝感激雨あられといった調子で本当に嬉しそうに「ありがとのぉ~」を繰り返していた。

それにしてもこれは物盗られ妄想なのか?
ちょっと怖い。

あとでスタッフさんに聞くと大泥棒の話は今朝から始まったことで昨日までは無かったそうだ。
やはり季節の変わり目だからおかしくなるのかな?
明日には忘れてますように。
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