いぶきの森に着いたのは3時過ぎだった。
綿子さんはもう入浴を終えていた。
ちょうどいいじゃん。
スタッフさんに「先に4階に戻りますね」と声をかけ、部屋に向かった。
エレーベーターを降りると綿子さんが「私、部屋が変わったんや」と言った。

「そうやってな。こないだかつおさんから聞いたわ。どこの部屋になったん?」

綿「元の部屋の向かいや」

「そしたらまた一番奥なん?」

綿「そうや」

ということで廊下の一番奥の左手の部屋へ。
この部屋は東側なので前の部屋より涼しい。
で、この部屋も二人部屋だ。
そして綿子さんのベッドは奥の窓側だった。
窓側になったのはわたしの知る限り初めてだ。
窓の横に立つと見晴らしがいい。
さすが4階。

綿「ほら田んぼが見えるやろ。田植えしたばっかりみたいや。あれを見たら自分が田んぼしよった頃のことを思い出すんや」

と嬉しいそうに言う。
本当はまだまだやりたい様子。
根っからの農家の人間なのね。

「それこそ今日はかつおさん、田植えに行っとるで」

綿「ほうな。あの子も大変やなぁ」

とにかく田んぼがよく見えるこの部屋が気に入っているようでなにより。

「ところで隣の人とはどう?話したりするん?」

部屋のネームプレートを見たので分かったのだが、同室の人は前の前の部屋で一緒だった人だった。
以前も同じ質問をしたことがあるのだが、その時は

綿「ああ、隣な?こんなんや」

そう言って横幅が広いジェスチャーをして見せたっけ。
あまり好きじゃないのねと感じたのだった。
あの後、だんだん仲良くなっていたんだろうか?
それで今回も同じ質問をしてみたのだが

綿「話したことない」

えっ?
同室になって2日目だが言葉を交わしたことがないそうだ。
で、今日初めて知ったのだが、この人とはデイルームでも席が隣同士なんだそうだ。
それなのに話しないなんて。
やっぱり仲がいい人と同室になった訳じゃなかったのね。
ていうかやはり仲がいい人と同室になった事などないのだろう。
なんでスタッフはわざわざこの人と一緒にしたんだろう?
謎だ。
ブログアイコン



↓ポチッと押して頂けると嬉しいな(*^ω^*)

にほんブログ村 介護ブログへ
にほんブログ村