次に2階の茂造さんのもとへ。
茂造さんは食事も終わってベッドで横になっていた。
直前にトイレに行っていたそうだ。
スタッフさんがそう教えてくれた。

茂造さんに「こんにちは!」と声をかけると

「ええ!もいっぺんトイレ行くんか?」

「違う、違う」

相変わらずわたしのことはスタッフだと思っているようだ。

「桃、持って来たで」

「おっ!ええのぉ~」

すくっと起き上がった。
さすが食べ物に目がない茂造さんだ。
かつおさんが桃の入ったタッパーを渡した。

「はい、じいさん」

「いかんが~。歯がないが~」

「歯やのうても食べれるわ」

茂造さんは総入れ歯なのだが、食事中以外は外してあって、詰め所で保管されているのだ。
もう寝る準備が整っているこの時間に歯がない事は想定内。
だからこそ歯がなくても食べられる柔らかい桃を持って来たのだ。
しかし

「いや歯がある方がええわ。歯くれや。頼むわ~」

仕方ない、詰め所に入れ歯を受け取りに行った。
この時間、スタッフは食事を終えた人をトイレに連れて行き、部屋に運ぶのに大忙し。
日曜なのでいつもより人手も少ないので本当に申し訳ない。
ホントすみません。

茂造さんは入れ歯を入れとても美味しそうに桃を食べた。
そして綿子さん同様、汁もキレイに飲み干した。
茂造さんが食べ終わるとすかさず

「そしたらまたな」

そそくさと帰ったのだった。
かつおさんは今日は田植えで疲れているし、もう7時前。
こちらはまだ晩御飯を食べていない。
お腹が空いてたまらない。
ごめんね、今度来るときはゆっくり来るから今日は許してね。

で、今日は洗濯物の袋が1つあった。
尿汚染。
ま、まだマシだ。
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