12月7日 日曜日

今日は麦さんと一緒に綿子さんのお見舞いに。
面会は家族のみと制限されているが、麦さんは綿子さんと血のつながった妹なんだからいいでしょ。
快世病院では病棟の入り口で検温し面会カードを記入しなければならない。
説明が面倒だし、万が一ダメですと言われたら困るので面会カードには綿子さんの苗字で記入した。
そしてインターホンを押して看護師さんが鍵を開けてくれるのを待つ。
これがなかなか来ない。
人手不足なのだろう。
いつ見ても看護師さんは忙しそうだ。
ところでこの病棟は日当たりが悪いのか廊下が薄暗い。
いぶきの森が明るかった分、なんだかどんよりしているように感じてしまう。
やはり早く退院できるように綿子さんに頑張ってもらわないと。

ようやく看護師さんが来て中に入ることができた。
部屋に入ると綿子さんは寝ていた。
どうしよう?と相談していたら目が開いた。
よかった~。
せっかく来たからね。
それに明日から家族も面会禁止で当分会えないもの。

麦さんが「綿ちゃん大変やったなぁ~」と声をかけた。
が、綿子さんの反応が鈍い。
寝起きだから?

「わたし誰か分かる?」

綿子さんは首を横に振った。
えっ?マジ⁉

「私やん」

綿「誰やろか?」

思わず

「麦さんやで」

と言ってしまった。
すると

綿「あ~」

なんとか分かったようだ。
なんかヤバいなぁ。
ここ数日でボケが進んでる?

とりあえず麦さんを思い出したようなので後は麦さんとかつおさんに任せてわたしは詰め所へ。
テレビの申込書を出しに行った。

看「イヤホンはお持ちですか?」

「はい、持ってきました」

看「じゃあセットしますね」

部屋に行き、何やらスイッチを入れるとテレビがついた。
いつもの綿子さんなら「うわ~良かった~」と言うところだが、今日の綿子さんは反応が無い。
ほんと大丈夫か?

しばらく話をしているとだんだん調子が戻ってきた。

「ここは昔、ばあちゃんが入院しとったよなぁ」

綿「そうや、そうや」

「あの頃よりずいぶんきれいになったな」

ばあちゃんが入院したのってわたしが結婚するより前のことなので30年以上前のことだ。
やはり昔のことはよく覚えているのねぇ。

そんな話をしていると隣の人のところにもお見舞いの方がいらした。
プリンを持参して食べさせていた。
綿子さんにも少し甘いものを食べさせても大丈夫かしら?
でも飲み込みに不安があるって言ってたからどうかしら?
そこでまた詰め所に行って尋ねてみた。
すると少々ならいいですよとの事だった。
そこでリンゴジュースを買ってきた。
これも病棟から出ないといけないので、出る時、入る時といちいち鍵を開けてもらわなくてはならず恐縮だった。
ホント不便だ。
ジュースを買って病棟に戻ると「確かとろみ剤を使ってましたよね。一緒にいきます」と言ってくれた。
一旦、とろみ剤無しで飲ませてみたらむせることなく飲めた。
「混ぜなくても大丈夫そうですね」
そのまま飲むことに。
良かった。
徐々に回復しているということだろう。

続く

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