その後も「違う!」を連発する茂造さん。
みんなで「違うことないで。茂造さんの奥さんやで」と繰り返していると「どこから来たんや?」と言い出した。

「病院や。足が悪くなって入院しとんや」

「ほらやっぱり違うやないか!綿子はクスミから来たんやぞ」

茂造さんの「どこから」は出身地の事だったのだ。
けど「クスミ」はフネさんの出身地。
記憶がこんがらがってるのね。

「ああ、そういう事。ほな綿子さんはニゲタから来たんや」

「ニゲタ?」

しばし考え込む。
以前「逃げてないのにニゲタ!」ってつまらんダジャレ言うとったやん。
早く思い出せ!
「ニゲタ」は頭の片隅に残っていたのだろう。
けどうまく整理できないよう。
言う事が変わった。

「コレ誰や?」

綿「綿子や」

「ほんまか?」

綿「私、分からんの?」

「これは誰や?」

かつおさんを差して言う。

「かつおや」

「おお!秀夫か!」

何、聞いとったんや!
誰も秀夫やって言うてないで。

綿子さんは初め「違う!」と言われてちょっとショックを受けたようだったが、茂造さんの訳分からない発言があまりにも続くのを見て、かなりボケが進んでいることを実感したようだった。
途中からは笑っていた。

そして「ニゲタ」が効いてきたのか綿子さんに向かって

「綿子か?」

綿「そうやで」

「来てくれたんな、ありがとなぁ」

ようやく分かってくれた!
良かった~。
ともったのも束の間、1分後には「コレ誰や?」と言ったのだった。
ガックリ。

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