茂造さんはおやつのドーナツを「美味いのぉ~」とご機嫌で食べた。
相部屋の方のことなどまるで目に入らないようだ。
きっと食べてる最中だからという訳じゃなく、興味ないからだと思う。

おやつを食べ終わると「家の者は元気か?」と言い出した。
あら、珍しい。

「綿子は元気か?長いこと会うてないのぉ」

「えっ?先週も先々週も会うたやん。会いに来てくれたやん」

茂造さんはポカンとした。
全く覚えてないのね。
そして話題をかえてきた。

「お前どこから来たんや?」

「横浜や」

「遠いのぉ」

すんなり受け入れた。
まさか『横浜』が通ると思ってなかったのでびっくり。
やっぱりかつおさんのことももうよく分からないのね。

しかし『横浜』効果は絶大。
連れて帰ってくれとは一度も言わず。
それどころか「気をつけて帰れよ」と気遣ってくれた。
いいじゃん『横浜』
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