2階に着くと目の前に畑田さんがいた。
綿子さんを見て

畑「今日も茂造さんに会いにきてくれたん?茂造さん喜ぶわ~」

いやいや、誰か分からんのに。
けど、誰か分からなくても会いに来てくれる人がいるってだけで喜ぶのかな?

畑田さんは嬉しそうにガラス扉を開けてくれた。
本当に茂造さんのことを思ってくれているのが伝わってこちらも嬉しい。

茂造さんはデイルームにいたので部屋に誘導する。
で、やっぱり綿子さんのことは誰か分からず。
しゃあないな。

今日のおやつはとうもろこしだ。
先々週、二人ともとても喜んで食べてた。
綿子さんなんか特に名残惜しそうにしてて、また持って来るからと約束してたからね。
今日のとうもろこしもさっき買って茹でたばかりのものだ。
1本を8等分に切って、一人4切ずつをタッパーに入れて持って来た。
ちなみに8等分したのはかつおさん。
そんなに小さくせんでええやんと思ったが切ってしまった後なのでしょうがない。

二人に「はい、どうぞ」とタッパーを渡したら

「歯がないが~」

あちゃ~、忘れてた。

「ごめん、ごめんすぐもらってくるわ」

急いで詰め所へ。
入れ歯をもらって部屋に戻ると早速かじりついた。
けれど綿子さんは食べない。
茂造さんを待っていたのかと思っていたのだが、茂造さんが食べ始めたのに食べない。
???
すると綿子さんが

綿「私も歯がないんや」

えっ?
綿子さんはいつも入れ歯を入れっぱなしなのでそんな事とは思いもよらなかった。
さっき寝てたからか?
それにしてももっと早く言えよ!

急いで4階まで入れ歯を受け取りに行った。
入れ歯を受け取り戻ってくると茂造さんはもうすでに半分以上食べ終えていた。
ま、これが茂造さんだよね。
相手に合わすって考えは一切ないよね。

綿子さんに入れ歯を渡し、ようやく綿子さんも食べる事ができたのだった。
やっぱり歯がないって不便だよね。
二人を見ると歳をとっても自分の歯で食べられるようにしっかり歯磨きしようと思うのだった。
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