かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(93歳)と綿子さん(91歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:おやつ

「そしたら部屋に行こう。部屋でおやつ食べようで」

ぞろぞろとみんなで部屋に移動した。
今は相方がいないので一人部屋だ。
気を遣わなくてすむのでありがたい。

茂造さんはベッドに腰かけ、向かいの椅子に典さんが腰かけた。
茂造さんは典さんが手に持っている袋が気になってしょうがないようだ。
そう、バーバーの手提げだ。
こういう時なぜか食べ物だって分かるのよね。
野生のカン?

本当は茂造さんに会う前に包みを開けて2個だけ持って入る予定だったんだけど、畑田さんが早々に茂造さんのもとに連れて行ってしまったので1箱丸々持って来てしまっていた。
仕方なく茂造さんの目の前で箱を開けた。
典さんは包装紙が破れないように丁寧に開ける。
こういうところもかつおさんとは真逆だ(笑)
茂造さんは早く食べたくてうずうずしながら典さんの手元をジーーーッと凝視していた(笑)
そして1個取り出して茂造さんに渡すと「美味いのぉ~」を繰り返しながらご機嫌で食べた。
が、食べている間も目線はずっとハーバーの箱だ。
久しぶりの息子の顔よりハーバーの箱の方が気になるようだ。
あっという間に食べ終わり「美味かったが~。もっと欲しいのぉ」と箱をじっと見ながら言う。
「そしたら後1個だけな」ともう1個渡し、箱を閉じて手提げ袋に戻した。
それをまたもジーーッと見る。
怖い怖い。

2個目を食べ終わるとさすがにもう一つくれとは言わなかった。
が、いつものように入れ歯を外して舐め回す。
ね、典さん、こんな人を外食には連れて行けないでしょ。
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美味しいよ♡











昨日の続き

大井さんとの話を終えた頃には、帰りたい病のおばあさんはいなくなっていたので、いつも通りガラス扉から中へ入った。
茂造さんはデイルームにいたので「おやつ食べよう」と部屋に誘導した。

今日のおやつは上用饅頭だ。
かつおさんが「じいさんはこれが一番好きなんや」と選んだものだ。
しかし今日は茂造さんの口から「美味い!」は一度も出てこなかった。
なんで?
一番好きなんじゃ?
もしかしてかつおさんの思いこみ?

「これ食べたら温泉やろが」

温泉?
何を言い出したのか困惑していたら

「温泉言うてもほんまは風呂や」

あっ!
今日がお風呂の日だと勘違いしてるのね。

「今日は風呂の日と違うぞ」

「ほんまか?」

「ほんまや」

「ほんだら寝よか」

「そうせえ」

今日は「家に帰る」がなくあっさり。
いつもこうだといいのにな。

そうそうこの日、茂造さんの隣が空っぽになっていた。
またお亡くなりになったのかしらと思っていたら違っていた。
自宅に帰ったそうだ。
初めから家に帰る目的でリハビリを頑張っていたそうだ。
で、1ヶ月頑張ったので晴れて帰宅となったそうだ。
けれど隣の方は大型の車いすを使っていたし、耳も悪いようだしかなり介護度が高いように見えたんだけど。
少々リハビリをしたところで自力で歩けるとも思えないし、家の人は大変だろうなぁと思う。
わたしには絶対できないな。
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ようやく親せきの二人のことについての話が終わり、茂造さんはまたかりんとう饅頭を食べ始めた。
さっきの会話中、興奮していたようで全然食べていなかった。
で、やっと食べ始めたと思ったら、今度は「わし、ゆうきや知らん」と言い出した。

「何を言うとんの。じいちゃんのひ孫やん」

「あんな大きんなったん、知らん!」

おいおい!
さっき「ゆうく~~ん」って言うとったやん。
訳分からん。

とにかく今日は良く喋るのでおやつが食べ終わらない。
さっさと食べてくれー!
ようやく食べ終わったので桃のジュースを勧めた。

「いらん!」

「そんなん言わんと。ちょっと飲んだら口がさっぱりするで」

茂造さんは渋々飲み始めた。
途端、

「これ甘いが!」

「そらジュースやからな」

「美味いが!」

「それは良かった」

「わしこれ牛乳かと思とったんや」

同じ紙パックだからそう思ったのだろう。
ジュースと気付いた茂造さんは「これは美味い!」を連発しながら飲み干した。

それにしてもやっぱり牛乳は飽きたのか飲みたがらないのね。
こりゃあスタッフさんも大変だ。

ようやくおやつを食べ終えたのでホールに連れ戻した。
帰ろうとしたらまたも「家に連れて帰れってくれんのか?」と言い出した。

「そやな。今日は無理や」

「いつになったら帰れるんや?」

「先生がええって言うたらや」

「ほうか」

やれやれ。
ようやく任務完了だ。
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さて次は茂造さんのところだ。
エレベーターで移動し2階で降りる。

ドアが開くと目の前に車いすに乗った方々が。
その後ろにいつも鍵のかかっているガラス扉が全開になっているのが見えた。
あっ、そうか、今日は月曜だからお風呂の日なんだ。
普段平日に来ることなどなかったのでうっかりしていた。
茂造さんも1階のホールに移動した後のようだ。

エレベーターは車いすの方たちが使うのでわたし達は階段で1階に降りた。
ホールでは茂造さんがテーブルに突っ伏すようにしていた。

「茂造さん、来たで。ちょっとあっちに行こう」

ロビーの方へ誘導する。

「家に帰るんか?」

帰る、帰る病はまだまだ継続中のようだ。

「違うで。あっちに行くだけやで」

「帰るんと違うんか?」

「そうや。あそこでおやつ食べよう」

そこでようやくゆうくん達がいる事に気づいたようだ。

「おっ!ゆうちゃん来たんか~」

久しぶりだがちゃんと名前は覚えていたようだ。

ロビーの椅子に座らせ、おやつのかりんとう饅頭と桃のジュースを渡した。

「はい、おやつどうぞ」

今日はすでに入れ歯が入っている。
もうすぐ昼食だものね。
ひと手間省けて楽だ。

茂造さんはいつものごとく「美味いのぉ~」と言いながら食べた。
そして急に

「にしぐちの二人は元気か?」

と言い出した。
『にしぐち』と言うのは地名だ。
二人というのは茂造さんの叔父の事だ。
一人は光三さん、もう一人はわたしが嫁に来るより前に亡くなった方なのでよく知らない人だ。

「光三さんは亡くなったで」

「えっ!嘘つけ!そんなことないやろが!」

「1年くらい前に死んだよ」

「嘘ばっかり言うな!こないだ会うたが!」

そんな訳あるかい。
夢の中で会ったのか?

「そんな事言うても、もう死んどるがな」

「そしたらカズオさんは?元気か?」

「カズオって誰?」

ハルちゃんがわたしに聞く。

「親せきやけど、とっくに死んどるわ」

「死んだんやって」

ハルちゃんが通訳している。

「いつや?」

「いつ?」

「いつか知らんわ。10年以上というか、もっと昔やな」

「10年前やって」←テキトー

「ほんまか!」

「ほんまや」

「嘘ばっかり言うて!」

「嘘ちゃうで」

「そやのぉ。わしが92にもなるんやから、そら死んどるわのぉ」

えっ!
いきなり物分かりが良くなったじゃないか。
それまでケンカ腰で怒鳴るように喋っていたのが、いきなりトーンダウン。
180度の変わり様にわたしもハルちゃんもビックリ!
とりあえずは納得してくれて良かったけど。

だけど茂造さんは92じゃなくて93ですから。
もうすぐ94歳ですからね。
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続き

今日のおやつは大福だ。
綿子さんはとても喜んでちびちび大事そうに食べていた。
大きな窓から近くの公園の桜が見えた。
満開だ。
「きれいやの~」とのんびり。

「ところで座布団はどう?」

綿子さんはポカンとしている。

「こないだかつおさんが持って来たやろ?」

「どうや?ちょっとは痛くなくなったか?」

綿子さんからの返事がない。
なかなか伝わらない。

「お尻痛くなくなったか?」

綿「痛いのぉ~」

「座布団敷いてもやっぱり痛いん?」

綿「痛いんや~」

「けどちょっとはマシになった?それとも変わらんのかな?」

綿「ちょっとはマシや」

ほっ。
ちょっとはマシなようで良かった。
けどそんなに大した効果は無いようだ。
どうしたものか。
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