かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(93歳)と綿子さん(91歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:ニコニコ

また廊下に戻り景色を眺めながら雑談をしていると、入浴を終えた4階の入居者さん達が続々と戻ってきた。
そして一人のおばあさんが近寄ってきた。
ゆうくんが気になって仕方ないようだ。
何も喋らないがゆうくんの前で手を振ったり、手を叩いて音を出したりして気を引く。
ニコニコしてとても嬉しそうだ。
ふと靴に名前が書いてあるのを見つけた。
よく見ると知っている名前だった。
以前綿子さんと同室だった方で、かなり痴呆が進んでいた人だ。
綿子さんのタンスを勝手に触るので困ったっけ。
今、この人は二人部屋を一人で使っている。
苦肉の策なのだろう。

あぁ、あの人か~。
だいぶきてたよな~。
けれどゆうくんを構っている今はしっかりして見えた。
やはり小さい子どもは特効薬なのね。
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昨日の続き

その後またも綿子さんから茂造さんの話題が出た。

綿「じいさん元気か?この後行くんやろ?」

「おう、そうや。どうや、ばあさんも一緒に行くか?」

綿「いいや、行かん!私がここにおるんが分かったら押しかけて来るようになるが」

だからそれは無いって!
顔を見ても誰か分からないのに。

「だったらわたし達と一緒に面会に来たんやって事にしたらええやん。それならここに居るとは分からんやん」

綿「いや、ええわ」

「どうせ会うても名前も分からんやろのぉ。じいさんはみんなの顔と名前が一致せんのや。わしやっていつも「秀夫」って言われるんや」

「そうやで。分かるのはゆうきだけやんな」

綿「へえ~ゆうきは分かるんや」

「そうや。けど他は全然分からんのや。わしはかつおやって教えて「おおかつおか!」って言うても、1分後にはまた「秀夫」って言われるし。それに同じ話ばっかりするんや」

か「わしはかつおやっ言うたら「秀夫はなにしよんや?」「秀夫はどこでおるんや?」「温室は?」つぶしたって言うたら「つぶしたんか!」それで「誰がつぶしたんや?」じいさんやって言うたら「お金にならんからのぉ」この繰り返しや」

「そうそう。たいてい話すこと決まっとるよな」

綿「へぇ~」

綿子さんはニコニコ笑いながら聞いていた。

「どう?一緒に行ってみようで」

もう一度誘ってみた。

綿「いや、ええわ」

キッパリ断られてしまった。
やはり会うのは抵抗があるようだ。
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鬼門のおやつタイムが終わり、しばらくゆうくんを囲んで談笑していた。
部屋はふだんドアを開けっ放しにしているのだが、今日はスタッフさんがエアコンをつけてくれたので閉めていた。
けどここはやはり老健施設。
引き戸の大きなドアにはガラスをはめ込んだ小窓があって外から部屋の中が見えるようになっている。
その小窓から中を覗き込んでいるおばあさんがいるのに気付いた。
もしかして同室の方かな?
リハビリが終わって戻って来たのかな?
急いでドアを開けて「こちらの部屋の方ですか?」と尋ねた。
おばあさんは何やらもごもご言っているが何を言っているのか分からない。
部屋に入って来るわけでもなく入り口に立ったまま、もごもご言うだけなのだ。

「綿子さん、こちらの方って同室の人?」

綿「ああ、そうや」

やっぱり。

「すいません、どうぞ入ってください。私たちはもう帰りますので」

おばあさんはやはりもごもご言うだけで会話にならない。
結構、痴呆が進んでいるようだ。

わたし達は急いで帰る準備をした。
ゆうくんを先日のように綿子さんのシルバーカーのカゴに入れた。
綿子さんが嬉しそうにシルバーカーを押して廊下に出た。
するとさっきまでもごもごと何を言っているのか分からなかったおばあさんがシルバーカーの前にしゃがみこんでゆうくんを見た。
そしてニコニコ笑いながら「あら、可愛い~」と言ったのだ。
そして「ほら!ほら!」と手をたたいてゆうくんの気を引こうとする。
「この子女の子?」
「いえ、男の子です」
「ほうな~」
ちゃんと会話出来るじゃないか!
さっきまでの様子とは大違いだ。
別人かと思うほどだ。
おばあさんはそのままゆうくんの前から動かず何度も「可愛いなぁ」を連発していた。
綿子さんが「ありがとうございます」と返していた。
これをきっかけに仲良くなれればいいなと思う。
それにしてもやはり赤ちゃんは偉大だ。
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12月8日 日曜日

結局、昨日は面会に行くのは止め、今日、面会することにした。
なんだか気持ちが落ち着かず、いつも通り振る舞えるか自信が無かったからだ。
ついポロッと喋ってしまっては困るし。

今日は気持ちを切り替えハルちゃんやゆうくんも一緒にいつものように面会へ行った。
まずは2階の茂造さんのところへ。
部屋には先客が居たので廊下の突き当りの談話スペースに移動することにした。
今度のお隣さんは家族の方がしょっちゅう面会に来られているようだ。
今日も先日散歩中にお会いしたメンバーで来られていた。
先日、茂造さんと握手した男の子もいた。
この子に茂造さんが話しかけているのだろう。
スタッフさんが子供が嫌がっているようだと懸念していたっけ。
さっさと茂造さんを連れ出そう。

「茂造さん、こんにちは」

「おお~来てくれたんか~」

「じいちゃん向こう行こう」

靴を履かせたり準備をしていると、男の子が仕切りのカーテンの陰からこちらを覗きに来る。
「これ、そっち行ったらダメよ」とお母さんが注意する。
男の子はお母さんのそばに戻るがまたすぐに覗きに来る。
こちらに興味津々のようだ。
ニコニコしながらこちらを覗いてくる。
全然、嫌がっているようには見えない。
茂造さんのことが嫌ならこんなことしないだろう。
それより話しかけてくれるのを待っているように見える。
やはりスタッフさんの先走り、独り相撲だったようだ。
真に受けなくてよかった。
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次に麦さんがやって来た。
麦さんも綿子さんに会うのは久しぶりだ。

「おじゃまします」

「これは誰な?」

「私は麦です」

「麦?おぉ麦さんか!覚えとる!旦那さんは良さんやろ?」

「そう!正解!お義兄さん凄いやないの」

「ほんまや!じいさん、凄いのお!」

顔と名前は一致しないが名前を聞くとどういう人かは分かるらしい。
麦さんが綿子さんの妹で旦那様が良さんだということは分かるのだ。
不思議なものだ。

麦さんは「うわ~綿ちゃん久しぶり~」と姉妹の再会を喜んだ。
綿子さんも「兄弟の中で一番麦さんと気が合うんや~」とニコニコだ。
そして麦さんにもゆうくんを見てもらった。

「うわ~大きくなったなぁ~。綿ちゃん良かったなぁ。ひ孫を見れて」

「おばさんも抱いてくれる?」

「かまんの?抱く抱く!」

麦さんは喜んでゆうくんを抱いてくれた。
慣れた手つきで上手に抱っこしている。
さすがだ。

「うわ~かわいいなあ~」

麦さんと綿子さんが並んでゆうくんを眺めていた。
なんだかとても幸せな時間だ。
今日の会を催して良かったと感じることができた。
ほのぼの空間


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