かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(93歳)と綿子さん(91歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:ハサミ

食後は皆でリビングに移動した。
ゆうくんはこの家には滅多に来ないから色々気になってしょうがない。
あちこちウロウロ。
引き出しを開けてみたり、障子を触ってみたり、楽しそうだ。
綿子さんはそれを見て目じりを下げていた。
が、次第にゴゾゴゾと行動を開始した。
ゆうくんが開けた引き出しにハサミが入っていたのを見逃さなかったようだ。
引き出しからハサミとマジックを取り出した。

綿「これ、あそこに持って帰るわ」

「いかん、いかん!刃物は危ないから持ち込み禁止やからな!絶対持って行ったらいかんで!」

綿「いや、でも~」

「ハサミが使いたいときはスタッフに言うたら貸してくれるから」

綿「別に危ないことないのに」

「ばあちゃんが大丈夫でも他の人は分からんやん。あそこはボケた人もようけ居るから。ばあちゃんとタンスから勝手に取って使うかもしれんやろ」

「そうやがな。だから禁止されとんや。お花を活けるときに使っとるハサミも1回、1回持って行って、持って帰っとるのもそういう訳やがな」

綿「はあ~~」

体全体でため息をつく。
が、ハサミはダメですから!

綿「ほなこれだけ持って帰るわ」

「いや、マジックやってスタッフに言うたら貸してくれるで」

綿「皆も持っとるのに」

そんなもの持って行ってどうする?
綿子さんが握っているのはマッキーの太いやつだ。
それにマジックを持って行ったところで紙が無いのに。
持って行くならノートとボールペンにすればいいのに。
綿子さんは持って帰ると譲らない。
面倒くさくなって取り上げるのはあきらめた。
ま、マジックなら危険はないだろうからそのうちこっそり回収しようと思う。

その後も爪切りを引っ張り出してきて「これ持って帰るわ」と言い出す。
それも刃物だからダメだってば。
とにかく何か持って帰りたくて仕方ないのね。
勘弁してよ。
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みきさんとのビデオ電話を終えた後、麦さんが少し席を外した。
すると綿子さんも立ち上がり、フラフラと自分の部屋へ入って行った。
急いでかつおさんが追いかけ、部屋の入り口からそっと見張る。
金目のものとかをポケットに入れやしないか見とかないと。
綿子さんは昔、記念硬貨を集めるのが趣味だったそうで、そういった物はまだ部屋に置いてある。
なので注意が必要なのだ。
こっそり施設に持ち込んでお気に入りのスタッフに渡したりしたら面倒だ。
幸い硬貨類には触らなかった。
が、ボールペンとハサミを手に台所に戻って来た。

綿「これ、あそこに持って行くんや」

いやいや、ハサミはアカンやろ。

「刃物は持ち込み出来んのと違う?」

「そや、それはイカンやろ」

孫達にたしなめられるが「いや大丈夫や」と言いながらポーチに入れた。
まいったなぁ。
頼みの麦さんが席を外しているので上手くたしなめる人がいない。
どうにかして取り上げなくては。
でも今はせっかくのいい雰囲気が壊れるのもなんだから後にしよう。

そして3時過ぎ、麦さんを迎えに娘のきいちゃんがやって来た。
みんなで外まで見送りに出ると

綿「きいちゃんに会えると思わんかったわ~。うわ~会えてよかった~」

とまたも泣いた。

麦さんを見送った後、急いで台所に戻りハサミの入ったポーチを食器棚の引き出しに隠した。
きっともう忘れているはず。
このまま目に入らなければ「ハサミどこ置いたっけ?」と言い出すことは無いだろう。
そして綿子さんがかつおさんと戻って来た。
やはり思った通り、ハサミのことは忘れているようだ。
テーブルの上にあったハサミが無いことに気づかない。
やったぜ!
心の中でガッツポーズをしたのだった。

その後、典さんにもビデオ電話かけた。
またも感激して泣く綿子さん。
今日は一体何回泣いたんだろう。
何度も感激しては泣きを繰り返して疲れたんじゃないだろうか。

そしていぶきの森に戻るにはまだ早いのでゆったりと過ごしていたら急にかつおさんが

「ばあさん、ハサミはイカンぞ!」

と言い出した。
ゲッ!
せっかく忘れているのに言うな!!
寝た子を起こすんじゃない!
わたしとハルちゃんと翔ちゃんは一斉に誤魔化そうと違う話を振る。
かつおさんに必死で目配せする。
勘の悪いかつおさんでもさすがに気付いたようだ。

「ばあさん、施設では何をしよんや?」

唐突に話題を変える。
が、なんとか誤魔化せたようだ。
ほっ。
本当、焦った~。

で、結局綿子さんはハサミのことは忘れたまま手ぶらで施設へ帰って行ったのだった。
やれやれ。
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