昨日の続き
そして2階へ。
エレベーターを降りたところでスタッフさんに会った。
すぐさま寄ってきて茂造さんの様子を話してくれた。
ス「今日は朝から山田病院に行くから帰るんやってずっと言ってるんです。綿子が入院しとるから行かないかんのやって」
好「ええっ?そうなんですか⁉実は先週家に連れて帰った時に綿子はどこやって言い出したんです。それで骨折して入院しとるんやって言ったんです。そしたらどこの病院や?みどりか?山田か?ってしつこく聞くので山田やって言うておいたんです。まさかまだ覚えているとは!」
ス「今日になって急に言い出したんですよ。思い出したんでしょうね」
好「本当に申し訳ありません。ここにいることは絶対にじいさんには言うなって綿子さんから念を押されてるんで、ここにいるとは言えず適当に誤魔化したんですけどね。すぐ忘れるだろうと思ってたんです」
ス「それで山田病院が出てきたんですね。急にどうしたんだろうと思ってたんですよ」
スタッフさんと一緒に茂造さんのもとへ向かった。
茂造さんは部屋で寝ていた。
ス「茂造さん、ご家族さんが会いに来てくれたで。ほら起きよう!」
茂「ええっ?わし寝るわ」
ス「そんなこと言わんとせっかく来てくれたのに」
か「じいさん調子はどうや?」
茂「わし寝るんや」
か「じいさんジュース持って来たぞ」
茂「ええ。いらん」
か「桃のジュースやぞ」
茂「桃!飲む!」
すくっと起きてベッドに腰かけた。
なんてげんきんな。
キャップを開けて手渡すと
茂「おお、美味い!」
まだ飲んでないやん…。
ふと隣のベッドを見ると空だった。
マットレスもない。
好「あれ?隣の方は?」
ス「あぁ~お亡くなりになったんです」
まさかとは思ったがやっぱりか。
けど木曜日は普通に元気そうだったのに。
いつも無表情でちょっと怖そうな方だったがゆうくんを見て「可愛いのぉ」と表情が緩んだのが思い出される。
ほとんどかかわったこともないのになんだか淋しい…。
茂造さんがジュースを飲み終えたので帰ろうかと思ったら
茂「まだおれや。急いで帰らんでもええやないか」
と言い出した。
こんなことを言うのは初めてだ。
なので少しお付き合いすることにした。
茂造さんは先週家に帰って来た時のように喋り続けた。
相変わらず昔のことばかりだ。
父の為五郎のことや田んぼのこと兄弟や親せきの話を何度も繰り返す。
そして「わしいつ家に帰れるかのぉ?」といった。
かつおさんが慌てて「家に戻ってどうするんや。食べる事やって出来んやろ。おかんもおらんのぞ」と言うと「わし、自分でするわ。体やって動くのに出来るわ」と腕を振り回して見せる。
茂「先生に家に帰らせてくれって言うたら家に帰ったら死ぬぞって言われたんや」
か「そうや。その通りや」
先生ナイス!
かつおさんは心底ほっとした顔をしている。
か「ここにおったらええが」
茂「隣の人は昨日までそこにおったのに、おらんようになったんや。家に戻ったんやろのぉ。ええのぉ」
家に無言の帰宅をしたんやで。
ええことないやろ。
茂造さんは亡くなったことを理解していないようだ。
けれど何か感じることがあったのだろう。
午前中は綿子さんの見舞いに山田病院へ行くと騒ぎ、今は「まだおってくれ」とわたし達を引き留め喋り続けている。
なにか普段と違う。
そして
茂「会いに来てくれてありがとなぁ。来てくれるんはあんたらだけや。ありがとうございます」
と言い出した。
大丈夫か?
茂造さんも死期が近いんじゃないかと心配になるじゃないか。
茂造さん、できるだけ長生きしたいんでしょ。
ならここでスタッフさんの言う事を聞いてのんびり暮らすのがいいと思うで。
また時々家に連れて帰るからそれで我慢してください。

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そして2階へ。
エレベーターを降りたところでスタッフさんに会った。
すぐさま寄ってきて茂造さんの様子を話してくれた。
ス「今日は朝から山田病院に行くから帰るんやってずっと言ってるんです。綿子が入院しとるから行かないかんのやって」
好「ええっ?そうなんですか⁉実は先週家に連れて帰った時に綿子はどこやって言い出したんです。それで骨折して入院しとるんやって言ったんです。そしたらどこの病院や?みどりか?山田か?ってしつこく聞くので山田やって言うておいたんです。まさかまだ覚えているとは!」
ス「今日になって急に言い出したんですよ。思い出したんでしょうね」
好「本当に申し訳ありません。ここにいることは絶対にじいさんには言うなって綿子さんから念を押されてるんで、ここにいるとは言えず適当に誤魔化したんですけどね。すぐ忘れるだろうと思ってたんです」
ス「それで山田病院が出てきたんですね。急にどうしたんだろうと思ってたんですよ」
スタッフさんと一緒に茂造さんのもとへ向かった。
茂造さんは部屋で寝ていた。
ス「茂造さん、ご家族さんが会いに来てくれたで。ほら起きよう!」
茂「ええっ?わし寝るわ」
ス「そんなこと言わんとせっかく来てくれたのに」
か「じいさん調子はどうや?」
茂「わし寝るんや」
か「じいさんジュース持って来たぞ」
茂「ええ。いらん」
か「桃のジュースやぞ」
茂「桃!飲む!」
すくっと起きてベッドに腰かけた。
なんてげんきんな。
キャップを開けて手渡すと
茂「おお、美味い!」
まだ飲んでないやん…。
ふと隣のベッドを見ると空だった。
マットレスもない。
好「あれ?隣の方は?」
ス「あぁ~お亡くなりになったんです」
まさかとは思ったがやっぱりか。
けど木曜日は普通に元気そうだったのに。
いつも無表情でちょっと怖そうな方だったがゆうくんを見て「可愛いのぉ」と表情が緩んだのが思い出される。
ほとんどかかわったこともないのになんだか淋しい…。
茂造さんがジュースを飲み終えたので帰ろうかと思ったら
茂「まだおれや。急いで帰らんでもええやないか」
と言い出した。
こんなことを言うのは初めてだ。
なので少しお付き合いすることにした。
茂造さんは先週家に帰って来た時のように喋り続けた。
相変わらず昔のことばかりだ。
父の為五郎のことや田んぼのこと兄弟や親せきの話を何度も繰り返す。
そして「わしいつ家に帰れるかのぉ?」といった。
かつおさんが慌てて「家に戻ってどうするんや。食べる事やって出来んやろ。おかんもおらんのぞ」と言うと「わし、自分でするわ。体やって動くのに出来るわ」と腕を振り回して見せる。
茂「先生に家に帰らせてくれって言うたら家に帰ったら死ぬぞって言われたんや」
か「そうや。その通りや」
先生ナイス!
かつおさんは心底ほっとした顔をしている。
か「ここにおったらええが」
茂「隣の人は昨日までそこにおったのに、おらんようになったんや。家に戻ったんやろのぉ。ええのぉ」
家に無言の帰宅をしたんやで。
ええことないやろ。
茂造さんは亡くなったことを理解していないようだ。
けれど何か感じることがあったのだろう。
午前中は綿子さんの見舞いに山田病院へ行くと騒ぎ、今は「まだおってくれ」とわたし達を引き留め喋り続けている。
なにか普段と違う。
そして
茂「会いに来てくれてありがとなぁ。来てくれるんはあんたらだけや。ありがとうございます」
と言い出した。
大丈夫か?
茂造さんも死期が近いんじゃないかと心配になるじゃないか。
茂造さん、できるだけ長生きしたいんでしょ。
ならここでスタッフさんの言う事を聞いてのんびり暮らすのがいいと思うで。
また時々家に連れて帰るからそれで我慢してください。

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