かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(93歳)と綿子さん(91歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:初めて

ひき続き 3日のこと

洗濯物の回収を終え、家に戻ると車いすが届いていた。
そう、土曜日に注文したあの自動ブレーキ付車いすだ。
早っ!!
プチプチで丁寧に梱包されている。
ちょうどそこへハルちゃん一家が来たので開封してみることに。
何重にもプチプチが巻かれていて外すとかなりのゴミの量(笑)
中から現れた車いすはこれ本当に中古?と思うほどきれいな物だった。

早速広げてみた。
足を乗せるパーツは外してあったので本来使う状態とは少し違うが、しっかりして安定感がある。
座ってみた。
座り心地も悪くない。
そしてお待ちかねの立った時にどうなるかの確認だ。
スッと立ちあがると車いすは全然動かない。
マジ⁉
凄い!!
少々の事では後ろに動かない。
ガチッとブレーキが効いている。
数くんも自動ブレーキ付車いすを見たのは初めてだそうだ。
「へえ~こういう仕組みなんや~」と観察していた。
やはりこの車いすはレアなのね。
で、ゆうくんも興味津々。
乗ってみたり、押してみたり。
ちょっとだけ気がかりなのは座面が少し高いこと。
お尻の下に部品がついているので普通の車いすより厚い座布団がついているのだ。
その分高さがある。
ちょっと座りにくいかも…。
そこだけが心配だ。

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ひき続き2日のこと。

綿子さんと別れエレベーターに向かっているとなじみのスタッフさんに会った。
ちょうどいい。
自動ブレーキのついた車いすを買ったことを報告しておこう。

スタッフさんにスマホの画像を見せながら「中古で良さげなのがあったから買いました」と伝えた。
このスタッフさんもリハ担の方が自動ブレーキ付きの車いすをレンタルするか購入してほしいとわたし達に依頼したことはご存じだった。

ス「早速購入されたんですか?」

とちょっと驚いていた。

好「この間から綿子さんがちょくちょく立ってることは薄々知ってましたから。危ないなあと思ってたんですよ。また転んで骨折でもしたら大事になりますもの」

こんな感じなんですってとYouTubeも見てもらった。
スタッフさんも初めて見る様子だった。
やはり施設でもこういう自動ブレーキのついた車いすを使っている人はあまりいないようだ。
そりゃあ考えてみたらこんな車いすを必要とする人はあまりいないだろう。
ほんとニッチな商品だと思う。
たいていの人は勝手に立ったりしないし、もし立つとしてもちゃんとブレーキをかけて危険回避が出来るだろう。
要はボケてて多少立つことができる人にしか需要は無いように思う。

か「結構安かったんですよ。35,000円だったんです。レンタルが月3,500円なので10カ月で元が取れる計算になるんで買っちゃいました。まだまだ1年やそこらで死なないでしょうから十分元はとれるはずです(笑)」

好「本当はリハ担の方にこれでいいかお伺いしたかったんですけどなかなかお会いできないし、中古はさっさと買わないと無くなるかも知れないんで買っちゃいました」

ス「はあ」

実はこの車いす、メーカー販売価格は18万もするのだ。
実際はもう少し安く買えるのかもしれないが35,000円は破格だ。
逃すわけにはいかない。
リハ担の方が勧めてくれた車いすとはメーカーが違うのでひょっとすると難色を示すかもしれないがそちらのメーカーの物は中古市場には全然なかったのでこれで許してもらおう。

好「近いうちに届くと思いますので、今度の週末に持ってきます」

ス「分かりました。リハ担の方に伝えておきます」

か「よろしくお願いします」

綿子さん、新しい車いすが届くまでは勝手な行動は控えててね。
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絶好調で喋り続ける茂造さん。
時々、「横浜か。遠いのに来てくれてありがとなぁ」とお礼を述べる。
典さんにだけでなくわたしにも同じことを言う。
どうもわたしの事を典さんの奥さんだと思っているようだ。
ほぼ毎週会いに行ってるのにこれかい。
ま、今日もかつおさんに「秀夫か?」と言ってたくらいだものね。
期待はしてません。

しかし横浜が遠いという事は理解できているようで、今日は家に連れて帰ってくれとは一度も言わなかった。
「遠い所をありがとうございます」を繰り返すのみ。
最後には「気をつけて帰れよ」と言ってくれた。

「今度から面会するときは横浜から来たことにしようかな」とかつおさんが呟いていた。
その方がすんなり帰れていいかもね。

茂造さんと別れ綿子さんのところへ向かおうとしていると畑田さんからまた「茂造さんは連れて行かないんですか?」と聞かれた。
茂造さんのことを思ってくれているのが伝わって来て嬉しいのだが申し訳ない、茂造さんと一緒に外食するのは勘弁してください。

そういえば典さんがいぶきの森の中に入ったのは初めてだった。
一昨年の11月に米さんのお葬式に帰って来た時に外から見たことはあったが、中に入るのは今日が初めてだ。
で、感想は?
思ったよりきれいでびっくりしたそうだ。
多分、もっと暗い感じを想像していたのだろう。
スタッフさんも気さくで明るい感じの人が多くて安心したそうだ。
畑田さんもよく見てくれているものね。
やっぱり聞くより実際見るのが一番分かるよね。
安心できたのなら良かった。
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好「ところで骨折部位はどうやった?」

今日の一番の目的は治り具合をみることでは?
肝心な事を忘れてしまっていた。
ま、それぐらい強烈な出来事だったのよね。

か「バッチリやって。きれいに治ってますよって。いや~初めて先生に会うたけど、ええ先生やったわ。色々質問しても嫌な顔せんとちゃんと説明してくれたわ」

そうか。
綿子さんが骨折して入院、手術した時、かつおさんは出張中だったから先生には一度も会ったことがなかったのね。

一番気になっていた「歩けるようになるか?」についての先生の返事は「う~ん、歩けなくはないと思うけど、歩いてまた転んで骨折したらいけないですからねぇ」だったそうだ。
やはりしっかりリハビリすれば歩けるようにはなるだろうけど、結局転倒のリスクが上がってしまうのでどっちがいいんだろうということのようだ。
やはりこのままずっと車いす生活がいいのかな?

で、次は12月に受診してくださいと言われたそうだ。
骨折して1年後という事だそうだ。
次もかつおさん頑張ってね。
お出かけセットは用意するから。
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昨日の続き

そして2階へ。
エレベーターを降りたところでスタッフさんに会った。
すぐさま寄ってきて茂造さんの様子を話してくれた。

ス「今日は朝から山田病院に行くから帰るんやってずっと言ってるんです。綿子が入院しとるから行かないかんのやって」

好「ええっ?そうなんですか⁉実は先週家に連れて帰った時に綿子はどこやって言い出したんです。それで骨折して入院しとるんやって言ったんです。そしたらどこの病院や?みどりか?山田か?ってしつこく聞くので山田やって言うておいたんです。まさかまだ覚えているとは!」

ス「今日になって急に言い出したんですよ。思い出したんでしょうね」

好「本当に申し訳ありません。ここにいることは絶対にじいさんには言うなって綿子さんから念を押されてるんで、ここにいるとは言えず適当に誤魔化したんですけどね。すぐ忘れるだろうと思ってたんです」

ス「それで山田病院が出てきたんですね。急にどうしたんだろうと思ってたんですよ」

スタッフさんと一緒に茂造さんのもとへ向かった。
茂造さんは部屋で寝ていた。

ス「茂造さん、ご家族さんが会いに来てくれたで。ほら起きよう!」

茂「ええっ?わし寝るわ」

ス「そんなこと言わんとせっかく来てくれたのに」

か「じいさん調子はどうや?」

茂「わし寝るんや」

か「じいさんジュース持って来たぞ」

茂「ええ。いらん」

か「桃のジュースやぞ」

茂「桃!飲む!」

すくっと起きてベッドに腰かけた。
なんてげんきんな。
キャップを開けて手渡すと

茂「おお、美味い!」

まだ飲んでないやん…。

ふと隣のベッドを見ると空だった。
マットレスもない。

好「あれ?隣の方は?」

ス「あぁ~お亡くなりになったんです」

まさかとは思ったがやっぱりか。
けど木曜日は普通に元気そうだったのに。
いつも無表情でちょっと怖そうな方だったがゆうくんを見て「可愛いのぉ」と表情が緩んだのが思い出される。
ほとんどかかわったこともないのになんだか淋しい…。

茂造さんがジュースを飲み終えたので帰ろうかと思ったら

茂「まだおれや。急いで帰らんでもええやないか」

と言い出した。
こんなことを言うのは初めてだ。
なので少しお付き合いすることにした。
茂造さんは先週家に帰って来た時のように喋り続けた。
相変わらず昔のことばかりだ。
父の為五郎のことや田んぼのこと兄弟や親せきの話を何度も繰り返す。
そして「わしいつ家に帰れるかのぉ?」といった。
かつおさんが慌てて「家に戻ってどうするんや。食べる事やって出来んやろ。おかんもおらんのぞ」と言うと「わし、自分でするわ。体やって動くのに出来るわ」と腕を振り回して見せる。

茂「先生に家に帰らせてくれって言うたら家に帰ったら死ぬぞって言われたんや」

か「そうや。その通りや」

先生ナイス!
かつおさんは心底ほっとした顔をしている。

か「ここにおったらええが」

茂「隣の人は昨日までそこにおったのに、おらんようになったんや。家に戻ったんやろのぉ。ええのぉ」

家に無言の帰宅をしたんやで。
ええことないやろ。
茂造さんは亡くなったことを理解していないようだ。
けれど何か感じることがあったのだろう。
午前中は綿子さんの見舞いに山田病院へ行くと騒ぎ、今は「まだおってくれ」とわたし達を引き留め喋り続けている。
なにか普段と違う。
そして

茂「会いに来てくれてありがとなぁ。来てくれるんはあんたらだけや。ありがとうございます」

と言い出した。
大丈夫か?
茂造さんも死期が近いんじゃないかと心配になるじゃないか。

茂造さん、できるだけ長生きしたいんでしょ。
ならここでスタッフさんの言う事を聞いてのんびり暮らすのがいいと思うで。
また時々家に連れて帰るからそれで我慢してください。
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