かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(93歳)と綿子さん(91歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:恐怖

昨日の続き

ピンクのマスクや可愛い柄のタオルなどを渡したおかげか、にこやかに穏やかに過ごしていた。
今日のおやつはモンブラン。
ちゃんと食べられるケーキも持って来たよ(笑)
「美味しいわ~」と喜んで食べていたのだが・・・

綿「かつおに言う事があったんや。今度、土日でいっぺん家に帰ろうと思うんや」

「はぁ?」

綿「それで一晩泊まろうと思うんや」

「そんなん無理やで。家に帰ったって一人でどうするん?」

綿「いや・・・」

「歩けもせんのに無理やろが!」

「そやで。あの家は段だらけやから車いすでは移動できんやろ。トイレの手すりももうないし、歩けるようにならんとちょっと難しいわ」

「ほんまや!むちゃ言うな!」

かつおさんはかなりエキサイトしている。
さっきまでの穏やかな空気が一変してしまった。
綿子さんはしょぼんとしてしまった。

けれど半日家に連れて帰るだけでも厳しいと思っているのに、一晩家で泊まりたいなんて無理に決まってる。
ちょっと考えたら分かりそうなことなのに平然と口にすることに恐怖を感じる。

本当はお正月に典さんと協力して家に一泊させる計画を立てとったんやで。
それをおじゃんにしたのは自分やで。
帰りたい気持ちは分かるけど今の状態ではどうしようもない。
聞くだけでストレスになるから言わないでほしい。
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昨日の続き

今日は綿子さんが家に帰りたいとかスーパーに行ってお菓子を買って皆にくばりたいとか言い出したので驚いた。
だんだん、あれしたい、これしたいと欲が出てきたようだ。
元気になってきた証拠だと思う。
快世病院を退院した頃はボーっとして覇気がなく欲も無かった。
どうなることかと心配したが大分復活してきたようだ。
これって喜ばしい事なんだけど反面恐怖も感じる。
今日みたいなやり取りが復活するのかと思うと憂鬱な気分になる。
かつおさんはまともに受け取ってすぐカッカカッカするし、血圧が上がるだろう。

実は当分家に連れて帰ってあげられないので、そのかわりにいぶきの森の近くの喫茶店にコーヒーを飲みに連れて行こうかと計画していた。
車いすを押して徒歩で行ける場所に1軒だけ喫茶店がある。
一度も行ったことがない店なので、車いすでも大丈夫か一度下見に行こうと計画していたところだ。
車への乗り降りも問題なく出来るようになれば気晴らしにスーパーに連れて行くのもいいかもとは考えていた。
が、今日のやり取りでしばらくいいやという気になってしまった。
もっとスルー力を身につけなければ…。
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その後やっと全部食べ切った。

綿子さんは、しばらくウロウロ歩き回るゆうくんを眺めて目を細めていたのだが、急に思いついたように言った。

綿「もう薬飲まんでええようになったんや。もう退院してもええって言う事かのぉ」

はあ~?
退院だって⁉
そんな事できる訳ないではないか!
家に戻って一人でやっていけると思っているのか?
すっごく嬉しそうにそう言う綿子さんを見てゾッとした。
まるで自分の状態を理解していない。
あの段差だらけの家に戻ってどうやって一人で生活するんだ?
そうでなくてもパーキンソンっぽい症状が出てシルバーカーが手放せないのに、家の中でどうやって移動するの?
それに一人は怖いんでしょうが。
家に帰ったら何だかんだと襲撃されるだろう。
頼られるのが目に見える。

勝手に夢見るのはいいけどわたし達には言わないで。
想像しただけで恐怖だから。
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6月16日 金曜日

今日も綿子さんに食料品を買ってきた。
これで明日も買い物に連れて行かなくて済む。
かつおさんと綿子さんに届けに向かった。

納屋を抜けようとすると扉は完全に閉まっていた。
ヒナはまだ巣立っていないのに。
先日、「もうツバメが居らんようになったから扉は閉めないかん」と言っていたが、「ツバメ居るで。ヒナがかえっとるで」と伝えると、見に行って「ほんまや」と喜んでいたのに。

かつおさんが「ばあさん、納屋の扉は開けとけよ。ツバメが入れんやないか」と言うと

綿「いつも開けとるわ」

「今、閉まっとったぞ」

綿「そんなことないわ。いつも開けてやっとるわ」

「開けとる言うたって、これくらいやろが」

かつおさんが手で10㎝の間隔を作って見せた。
すると綿子さん

綿「そんなことないわ。いつもこれくらい開けとるわ」

と両手を広げた。
1m以上はある。
大嘘もいいところだ。

「何を言うとんや」

綿「いつもこれくらい開けとるわ」

真顔で言う。
冗談じゃなく、本気で言っているようだ。
マジで怖い。
嘘コケ



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引き続き20日のこと

わたしが家に戻って直ぐのこと。
かつおさんはわたしの顔を見るなり、ものすごい勢いで喋り始めた。

「ばあさん、進んどるわ」

「進んどるって、何が?ボケが?」

「そう」

「何があったん?」

「今日、みどり整形に支払いに行ったやん。そしたらばあさんがおったんや」

「えっ?おったって、待合室に?」

「そうや。晩御飯の時間やのに、病棟抜け出して降りて来とったんや。ほんでわしの顔見て、ニヤッて笑ったんや。怖かったわー」
エンカウント

「そんなに元気になっとんや。もう大分動けるようになったんやなぁ」

「いや、まだそんなに動いたらイカンって言われとるのに、勝手に動いとるらしいわ。部屋にポータブルトイレも置いてあって、そこでするように言われとるのに勝手にトイレに行っとるらしいわ。ばあさんを探しに来た看護師さんがそう言うとったんや」

「相変わらずやな」

「それで看護師さんが言うには「今はコロナが落ち着いてきたから、申し出てくれたら15分だけ面会できます」やって。そう言うから「これはセッティングですか?」って聞いたんや。そしたら「違います。勝手に降りてきてるんです」って」

「ほんま言う事聞けん人やなぁ」

「ほんでばあさん、わしに何を言うかと思うたら「銭くれ、150円しかないんや」やって」

「お金やどこで使うん?使うとこ無いやん」

「知らんわ。でも受付の前で、周りに人もおったから、もめるのもなんやから2千円だけ渡したんや」

「それでボケが進んどるって思ったん?」

「そうや、勝手にウロウロ徘徊しとるんやで」

「それ、かつおさんが来る頃を見計らって、お金貰おうと思って降りて来たんと違う?」

「えっ?そうやろか?」

「綿子さんの洗濯物を取りに行った看護師さんから、夕方かつおさんが来るって聞いたんと違う?」

「そうか!わしを待ち伏せしとったんか!」

「わたしはそうやと思うで」

「ばあさんならあり得るな!それやったらボケが進んどるんと違うわ。悪知恵が働いとるやん!」

「待ち伏せは得意技やからな!」

「そうや!間違いないわ!」

かつおさんは全く予想もしていない時に綿子さんが現れたので、恐怖で冷静な判断が出来なくなっていたようだ。
ボケが進んで徘徊しているんだと思い、心配していたのだった。
でもちょっと考えたら分かることやん。
大丈夫、ボケは進んでいません。

それにしても綿子さんは全く人の言う事が聞けない。
勝手に病棟を抜け出すなんて以ての外やん。
退院したらまた振り回されそうで今から怖いなぁ。


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