かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(93歳)と綿子さん(91歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:我慢

綿子さんが仏壇のお参りを済ませリビングに戻るとちょうどハルちゃんとゆうくん、そして翔ちゃんがやってきた。
ほっ。
助かったー!
一気に場が明るくなった。
茂&綿を家に連れて帰る時にはいつもハルちゃんと翔ちゃんにヘルプをお願いしている。
人手は多い方がいい。
そして麦さんも来てくれた。
皆が来てくれて綿子さんもようやく笑顔になった。

弁当を取りに行っていたかつおさんも戻ってきた。
茂造さんも大勢、人がいると嬉しいようだ。
そして次第に色々思い出してきたようで、ようやく綿子さんのことを認識したようだった。

「あれ、綿ちゃんやろが?わしの奥さんやのぉ」

「そうやで」

「だいぶ思い出してきたわ」

「それは良かった」

「わしの頭はボロになってしもたんや。ようけ忘れてしもうたが。ほんまボロになってしもて」

この「ボロになってしもた」は何度も何度も繰り返していた。
一応、自覚はあるのね。

麦さんは綿子さんの顔を見に寄っただけで今日はすぐ帰るそうだ。
そりゃあお盆だし、麦さんも忙しいのだろう。
そんな中、わざわざ寄ってくれてありがたい。
麦さんが帰るというので皆で外まで見送りに行った。
茂造さんは歩くのが拙いので残った。
なのでわたしも残り、昼食の準備をした。

台所でテーブルに弁当を並べたりコップを並べていると茂造さんが「腹減ったが~」と言いながらやってきた。

「今、準備しよるからな。ちょっと待っとってな」

「おっ!美味そうや!」

「皆がそろってから食べようで。ちょっと待っとって」

「おう」

以前の茂造さんなら先に食べ始めていただろう。
いぶきの森で集団生活をして少しは周りに合わせることを覚えたようだ。
人間、いくつになっても成長できるものなのねぇ。

が、皆はなかなか戻ってこない。
名残惜しくてなかなか別れられないのかな?
茂造さんはお弁当を前にソワソワ、ソワソワ。
何度も時計を見上げて
「もう12時やから戻ってくるやろのぉ」
「もう12時過ぎたがー!なんしょんやろかのぉ」
「もう食べようか」

「みんなと一緒に食べんの?」

「そやな。待つわ」

そう言いながらも弁当のふたを開けてみたり、箸を手に取ってみたり、時計を眺めてみたりとホント落ち着かない。
なんだか必死で我慢している姿がなんだかかわいい(笑)
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昨日の続き

その後もしばらく話し相手をしていたら綿子さんの発言にビックリした。

綿「私、こんなことになってしもうて、もう大分先まで退院出来んやろなぁ。いつ退院できるやろか?」

ハァ?退院?
そんなこと永遠にないわ!
そもそもここは病院でなくて施設やで。
それを言うなら退所やし。
ボケもどんどん進行しよるのに家に帰るなんて無理やろ!
そう思うがとりあえず話を合わせておく。

「そやなぁ。歩けんのでは家に帰れんやろな」

綿「そや。家に帰ったら食べる事せないかんやろ。自分で米を炊くぐらいは出来ると思うんや。けどおかずはなぁ。この歳になったらおかずを作るのがなぁ。そしたら好子さんやかつおに世話かけるようになるなぁ。すまんなぁ」

先に謝られても無理です!
だいたいおかずは作れないんじゃなくて作りたくないだけやろ!
やろうと思えば出来るやろ!
家に帰って自由を手に入れて自分の事は自分でするというのならまだいいが、人を当てにしないといけないのならここで我慢しろよ!

絶対に退所させる気はないがこういった事を聞かされるだけでムカムカする。
まだまだ修行が足りない…。

「とにかく歩けるようにならな。そしたら茂造さんのとこにも寄らないかんから帰るわ」

そそくさと帰ったのだった。
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昨日の続き

綿「翔ちゃんに会えると思うてなかったわ~。嬉しい~」

「ばあさん、元気やったか?」

綿「おう、元気や。翔ちゃんも元気でやっとんか?」

「元気やで」

綿「あれ?今日は仕事は?」

「みんなゴールデンウイークで休みや」

綿「あぁそうか」

「昨日は茂造さんの面会に来とったんや。茂造さんもひ孫が生まれたの喜んでくれとったわ」

「じいさん、ゆうくんの写真見てわしに似とるって言うとるんんや(笑)」

綿「わたしも今度じいさんに会うたら写真見せてあげないかんと思っとったんや」

「いや、茂造さんにも綿子さんに渡したのとおんなじ写真を渡しとるから大丈夫やで」

「じいさんに会うたらって、いつ会うんや?会わへんやろが」

綿「いや、また先で会うたら...」

「じいさんには全然会うてないんか?」

綿「じいさんには私がここにおることは言うてないんや。私が4階におるって知ったら勝手に押しかけて来るようになったらいかんから、会うたらいかんってここの人に言われとるんや」

ハァ?
スタッフさんはそんなこと一言も言うてないで!
自分が絶対に会いたくないって言うたんやん!
スタッフさんにちょっと会うてみる?って聞かれても頑なに拒んどるんは綿子さんやん!

それがいつの間にか「スタッフの指示で茂造さんには会えない」ってことに脳内で変換されている。
自分は悪くないと思いたいための自己防衛機能だろうか?
けれど今度ゆうくんに会ってもらうために外出するときは嫌でも茂造さんに会ってもらわなければ。
綿子さんのわがままに付き合いきれない。

「綿子さん、今度外出して家に帰ってゆうくんに会うてもらいたいなぁと思っとるんやけど、その時は茂造さんと会うようになるけど構わんかな?一緒の車で帰るのは避けるから。綿子さんがここにおることは茂造さんには分からんようにして時間差で迎えに来るからな。家では一緒に過ごすことになるけどそこは我慢してな」

綿「じいさんに会うたらまたうるさいし...」

難色を示す。

「でもな、同じ日に帰るのが嫌やったら家に帰る頻度は少なくなるで。わたしらも用が色々あって忙しいからな。でも月に1回は家に帰れるようにしようと思っとんや。二人一緒でもええんやったら毎月1回は家に帰れるけど、嫌やって言うんやったら2カ月に一回になるで。それに面会はお風呂に入る日でないといかんから綿子さんには土曜日に会いに来れるけど、茂造さんは月曜と木曜やから会いに来られんのや。だから家に連れて帰るのはどうしても茂造さん優先になるで」

「ほんまや。じいさんにはなかなか会えんのや。昨日、会うたんやって5か月ぶりやったんや」

綿「ほうか」

「とにかく迎えに来たり、送ってきたりするときは二人別々にして、綿子さんがここにおることは茂造さんには分からんようにするから。家で会うくらいは我慢してな」

綿「それやったら」

はぁ~~~~。
やっとOKを取り付けた。
それにしてもそこまで嫌がらんでええやん!
久しぶりに半日会うくらいええやん!
そこまで茂造さん悪い人でないやん!
本当に面倒くさい事やで。
別々に迎えに行って別々に送って行くのだってかなり手間なのに。
なんでここまでしなくちゃいけないんだという考えがムクムク湧いてくる。
が、月1だし我慢して頑張ろう。
こっちも我慢してるんだから綿子さんも我慢してくださいね!
お高くとまってんじゃねえ



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火曜日はまだまだこなさないといけないスケジュールが満載だった。

この日は以前から申し込みをしていた「高齢者移動サービス」の初めての利用日だった。
午後1時にボランティアの方が家まで迎えに来てくれることになっていた。
綿子さんは気が進まないようで後ろ向きな事ばかり言っていたが、そこをなんとか上手く送り出さなくてはいけない。
かつおさんは

「こういう行政のサービスを受けてくれんとわしらも大変なんや。何でもわしらにばっかり頼るんでなくて、ちょっとは我慢してこういうのも利用してくれよ」

と言ったそうだ。
綿子さんは不服そうな顔をしていた。
そこで典さんが

「そしたら〇〇と✕✕と△△を買って来てよ」

と買い物リストを紙に書いて渡したそうだ。
そこでようやくなんとか行く気になった。
ナイス典さん!!

そして午後1時、時間通り車がやって来た。
男性の運転手の方ともう一人女性スタッフの方が来た。
二人いたので少し安心したようだ。
そしておしゃべり上手なスタッフさんのおかげで割りと楽しく買い物に行けたようだ。
帰って来た時の様子を見て、次回からは文句を言わずに行きそうだとかつおさんは思ったそうだ。
うぬぼれんなよ

まず1回目さえうまくいけば大丈夫だろうと思っていたがやっぱりその通りだったようだ。
とりあえず一安心だ。



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