かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(93歳)と綿子さん(91歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:押し寿司

そして次に茂造さんのもとへ。

茂造さんはベッドで横になっていた。

「茂造さん、こんにちは」

「来てくれたんな。これは誰な?」

「誰か分かる?」

「ゆうきかの?」

「正解!」

やるやん!茂造さん。
今日は結構しっかりしているようだ。

「じいさん、元気か?」

「あんた誰な?」

「誰か分かる?」

「かつおかの?」

「そうや。正解!」

凄いじゃん!
絶好調だ。
しかし「わし寝るわ~」と言って横になったままだ。

「お寿司持って来たんやけどなぁ」

「えっ?お寿司?ほな起きよか」

げんきんな(笑)
茂造さんはさっさと起き上がりベッドに腰かけた。

「はい、どうぞ。今日はお祭りなんやで」

「こりゃあ美味そうや!!」

人の話を聞いちゃあいない。
茂造さんに一つ身を見せたところでなんのこっちゃ分からないだろう。
なので一つ身の話はしなかった。

茂造さんは勢いよく食べ始めた。

「うわ~お寿司や~!こりゃぁええ!!」

食べながらもにぎやかだ。

「これはエビやないか!凄い!!」

親指の爪ほどの小さいエビに感動している。

「これは刺身や!凄い!!」

いえいえ、それはしめさばです。
刺身はNGですから。
茂造さんは「凄い!」を連発しながらパクパク食べた。
ゴマのように小さなニンジンまで残さずキレイに食べてしまった。

「うわ~美味かった~!良かった~!!」

こんなに喜んでくれると持って来た甲斐がある。
また持ってくるね。

あと気になった事が一つ。
茂造さんの隣のベッドが空になっていた。
転所したのかそれとも亡くなったのか。
今回の人とは一度も喋ったことがないし、いつも寝ている姿を見るばかりだったのだがなんか寂しい。
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昨日の続き

前置きが長くなったが、今日はこの一つ身を綿子さんに見せてあげようと持参したのだ。

今日はかつおさんとハルちゃんとゆうくんと4人で面会に行った。
4時頃なら入浴も終わっているだろう。
思った通り1階のホールはもう誰もいなかった。
4階へ上がると綿子さんはデイルームにいた。
わたし達に気づくとすくっと立ってシルバーカーを押しながらスタスタと近づいて来た。

「えっ?歩行器ちゃうやん!シルバーカーに戻っとるやん!」

あっそうか、先週は翔ちゃんと来たからハルちゃんは知らなかったのね。

「先週から換わったんや」

「スタスタ歩いとるやん。やっぱ不死身やな」

「さすがやろ」

みんなで部屋へ移動したのだが相部屋の方がベッドで寝ていたので廊下の突きあたりのベンチがある場所に移動した。

まずはゆうくんから。

綿「来てくれたんか~」

やはりゆうくんを連れてくるのが一番喜ぶ。
抱かせてあげると「また重んなったなぁ」と目を丸くする。
そして次は押し寿司だ。

「今日はお祭りなんや。だからお寿司持って来たで」

「ばあちゃんの実家の近くの産直のやで」

綿「うわ~~。嬉しいわ~。ここではこんなんは食べれんから~」

お箸を出したりお茶を汲んだりと準備をしていると

綿「かつお、花は用意したんか?」

「ちゃんと用意しとるから大丈夫や」

綿「ほうか」

祭りと聞くと花代のことが気になったようだ。
こういう所はまだまだしっかりしている。

「今年は喪中の家がようけあってのぉ」

綿「そうなんか」

「〇〇さんと✕✕さんと△△さんと・・・」

綿「えっ✕✕さんも亡くなったんか?」

「おう」

綿「ほうか~。香典は・・・」

「ちゃんとしとるから大丈夫や」

やはりお金のことが気になるようだ。

綿子さんがいぶきの森に入所して8カ月。
その間に同じ地区で4人も亡くなった。
みんな茂&綿より若い人ばかりだ。
そう考えるとやっぱりこの二人はすごいなぁと思う。
ほんと体は丈夫だ。
田んぼで鍛えていたからか?

押し寿司を食べ始めた綿子さんは「美味しいわ~」と喜んでくれたのだがほんの2口ほど食べると箸が止まった。

綿「これ置いといて明日食べるわ」

またかよ!

「それはイカン!」

「お腹空いてないん?」

今、4時過ぎだ。
お腹は空いているはずだが。

綿「いや、お腹は空いとるんやけど、これ美味しいから明日の楽しみに取っときたいんや」

「だからそれはダメなんやって」

また食べ始めたのだが半分ほど食べるとまた箸が止まる。

綿「これだけ置いとくわ。明日の朝食べるからナイロン袋に入れとくわ」

「ナイロン袋やないわ」

綿「そこに見えよるが」

なんと目ざとい。
お寿司や割りばしなど入れてきたバッグからナイロン袋が少し見えていた。

「これは紙コップが入っとるんや。じいさんにも同じもん持って行くから」

綿「そしたら部屋に行って取ってくるわ」

どうしても置いておくつもりだ。
しゃあないなぁ。

「そしたらこのまま置いて帰るわ。明日忘れんと食べなよ」

入れてきたタッパーのまま置いて帰ることにした。
お寿司なので明日の朝なら傷むこともないだろう。
それに食べかけの物なので他人にあげたりもしないだろうと考えてのことだ。
けどもう食べ物を持って行くのは止めようかしら。
このやり取りがストレスだ。
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10月19日 土曜日

今日、明日は地元のお祭りだ。
土曜日は各家を獅子舞が回る。
茂&綿を家に連れて帰って見せてあげたいが、あいにく我が家に獅子舞が来るのは夜7時前になるのでちょっと無理だ。
せめてお祭り気分を味わってもらおうと考えた。

祭りと言えばお寿司だ。
綿子さんの実家の近くの産直に『押し寿司』がある。
田舎の家庭の味がするちょっと甘めの酢飯が美味しい。
この押し寿司は茂&綿もお気に入りで昔からよく食べていたのでそれを持って行ってあげようと思い買ってきた。
N寿司

それともう一つ。
一つ身を着せたゆうくんを見せてあげようと思った。
わたしたちの地方ではお祭りの時にお宮参りをするのが慣例だ。
普段、お宮さんに宮司さんはいらっしゃらなくてお祭りの時やお正月くらいしか来ないからだ。
赤ちゃんが生まれたらお祭りの前日、金曜日の夜にお宮参りをして氏子につけ、祈祷してもらうのが習わしだ。
わたしたちも昨日の夜、ゆうくんを連れてお宮参りに行ってきた。

お宮参りと言えば一つ身の着物だ。
はるか昔、翔ちゃんをお宮参りに連れて行く時にも一つ身を着せた。
それはかつおさんが赤ちゃんの頃に着たものだった。
綿子さんが「かつおの着物があるから」と出してくれたものだった。
きっとどこかに仕舞ってあるはず。
今まで綿子さんちの大掃除をしたけど綿子さんの古いタンスには手を付けていなかった。
普段着の入っているタンスは整理させてもらったが、着物が仕舞ってある方はそのままにしていた。
そのタンスに入っているに違いない。
探してみると大当たり!
古い一つ身の着物が出てきた。
鷹の柄でカッコいい。
かつおさんによるときっと元は典さんの物だろうとのことだ。
そりゃ次男のためには作らないよね。
けど、ということはこの一つ身は約70年前の物なのか!
広げて見るとけっこうシミがあるが黒いので目立たない。
虫くいはない。
一度クリーニングすれば使えそうだ。
一つ身ってまず1度くらいしか着ないので買うのはもったいない。
レンタルするかこれを洗うか。
クリーニング代も結構かかるだろうけどせっかくならこの着物を着せたい。
そう思ってクリーニングに出したんだけど、染み抜きなし丸洗いのみで5000円だった。
けれどずっとしまい込んでゴワゴワだったのが滑らかな肌触りに戻り満足な仕上がりだったのでOKだ。
ということでゆうくんは昨日、この代々の男の子が着た一つ身を着てお宮参りをしてきたのだった。

続く


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