かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(92歳)と綿子さん(89歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:涙ぐむ

麦さんは帰る前にもう一度米さんの部屋を覗きに行った。
するとスタッフさんが米さんを車イスに移乗させていた。
スタッフさんは麦さんに気づくともう一度米さんに声をかけてくれた。

ス「米さん、妹さんが来てくれとるよ」

「ねえさん、起きたんな。元気にしとる?私、誰か分かる?」

米さんはしばらくして「わたこ」と答えた。
やっと少しだけ声が出た。

「綿子ちゃうで、私は麦や」

米さんは少しだけにこっと笑ったように見えた。
けどそれ以降、やっぱり声を発することは無かった。
そして車イスで移動する米さんと一緒にデイルームに戻った。

「姉さん、元気でな。また来るわ」

茂造さんの部屋から出てきたかつおさんも米さんを見てびっくりしていた。
無表情で空を見ている。
ほんの3カ月でこうも進むのか。

帰りの車内で麦さんはまた涙ぐんでいた。

「姉さんはもう長くないかもしれんなぁ」

「いや~ビックリしたわ。あれではかっちゃん(米さんの娘)たちも会いに来るん辛いやろなぁ」

「でも綿ちゃんと茂造さんはまだまだ長生きしそうや」

「勘弁して~」

同じ施設に入所している3人。
ほんと、三人三様、みんな全然違う。
綿子さんと米さんは4歳違い。
4年後には綿子さんも米さんのようになっているかもしれない。
親の介護はだんだん弱っていく姿を目の当たりにしなくてはならない。
まず良くなることはないのだから。
本当につらい仕事だ。
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昨日の続き

そして次に皆で2階に移動した。
茂造さんは部屋にいるようでデイルームに姿は無かった。
茂造さんはいるかいないかすぐ分かるが米さんは分からない。
それくらい以前とは変わってしまっていた。
なのでスタッフさんに尋ねる。

「米さんはどちらですか?こちら米さんの妹さんなんです」

ス「今、部屋で休んでますね。ご案内します」

かつおさんに茂造さんの相手を任せ、麦さんと米さんのもとへ向かった。
米さんの部屋は4人部屋だった。
廊下側の入って左手だ。
米さんはベッドで横になっていた。

ス「米さん、妹さんが会いに来てくれたよ。起きようか」

耳がかなり遠いのかスタッフさんは耳元で大きな声で話しかけていた。
米さんは何も返事をしない。
麦さんが近寄って「姉さん、会いに来たで。私、誰か分かる?」と声をかけた。
が、やはり反応がない。

「麦やで。久しぶりやなぁ」

色々声をかけてみるがやっぱり反応はほぼない。
スタッフさんも耳元でいろいろ話しかけてくれたが、米さんは何も喋らないし表情も変わらない。
6月に会った(見かけた)時よりいっそう進んでいるいるみたいだ。

しばらく一方的に声掛けしたが反応が無いので諦めた。
茂造さんの部屋へ向かいながら麦さんは涙ぐんでいた。

茂造さんの部屋ではかつおさんがゆうくんを連れなんとか茂造さんの相手をしていた。
こちらはいつも通り。
茂造さんは元気いっぱいだ。
私たちが部屋に入るとちょうど麦さんお手製の栗おこわを食べさせようとしていたところだった。

「ほれ、じいさん、栗おこわや」

「おお~ええのぉ!美味そうや!」

麦さんは茂造さんの傍に近寄って挨拶した。

「お兄さんお久しぶりです」

「じいさん、誰か分かるか?」

「麦さんや」

おおーーー!!
凄いじゃないか!!
今日は絶好調のようだ。
ま、『栗おこわ=麦さん』と刷り込まれていたという事かもしれないが。

茂造さんは栗おこわをとても美味しそうに食べた。
食べ終わると入れ歯を外し、入れ歯の裏側に挟まった米粒までキレイになめた。
麦さんも居るのに行儀が悪い!
ま、誰がいようがお構いなし、我が道を行くのが茂造さんだ。
幸い麦さんは大笑いしてくれたので良かった。
ここまで喜んで食べてくれたら作ってきた甲斐があるわと言ってくれた。
茂造さんの面会は明るく過ごせていい。
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いぶきの森に着き、受付カードを記入しているとホールに綿子さんが居るのが見えた。
スタッフさんがわたし達に気付いたようだ。
綿子さんに声をかけている。
綿子さんはこちらを見て驚いていた。
いつもなら面会は大抵日曜日だし、麦さんも一緒だから驚くのも無理もない。
その上大好きなゆうくんも連れてきていたので早速顔を手で覆っている(笑)

綿「来てくれたんか~」

みんなでホール横のロビーのテーブルについて話をした。

「綿ちゃん元気~。久しぶりやなぁ~」

綿「よう来てくれたのぉ。ありがとなぁ」

「かつおちゃんが誘ってくれたんや」

綿「ほうか。なんか今日は皆が来るんでないかと思とったんや~」

なんだか調子のいい事言っている。

「ゆうくん大きんなったなぁ。ひ孫に会うんが楽しみやろ~」

綿「そうなんや~。こうやってよう連れてきてくれてなぁ。いっぺん抱いてこの辺を歩いてみたいと思いよるんやけど」

「それはムリやわ」

その通り!
そんな恐ろしい事できません。
歩行器に掴まって歩いているのに赤ちゃんを抱いて杖もなしで歩くなんで無謀だ。
転んでゆうくんがケガをしたらどうする。
けどこの間から何度もこんなことを言っているのだ。
麦さんがハッキリ「ムリ!」と言ってくれてちょっとスカッとした。

その後も和やかに会話が続き、ひと段落したところで麦さん特製の栗おこわを出した。

「綿ちゃんに食べてもらおうと思うて作ってきたんや~」

綿「うわ~美味しそうや~」

「食べて、食べて!」

一口食べると

綿「美味しいわ~」

と涙ぐむ。
麦さんは以前もよく栗おこわを作って持って来てくれていた。
なので懐かしい味でもあると思う。

「栗は皮剥くのが大変やろ」

「いいや、私、栗の皮剥くのが趣味なんや。食べるのはどっちでもええんや。とにかく剥くのが大好きなんや」

「へぇ~~」

変わった趣味だ…。
けどそのおかげで栗おこわを頂けるんだからありがたい(笑)

綿子さんは分分くらい食べると「あとは置いとこうか」と言い出した。

「いやいや、今食べてしまってよ。残ったら持って帰るから。もう食べれんの?」

昼食後であまりお腹が減ってないのかな?

綿「いや、食べれん訳ではないんや。美味しいから明日も食べたいなぁと思うて」

「それはダメなんや」

綿「そうな。そしたら食べてしまおうか」

また食べ始めた。
そして残り3分の1くらいになると

綿「ここで出るご飯はいつもこれくらいなんや」

と言った。
そう言えば前にも「ごはんが少ないんや。3口で無くなるんや」って言ってたっけ。
とにかく食べ物に飢えている感じだ。
ちゃんとカロリー計算された食事が出ているはずだが、今まで好きなものを好きなだけ食べていた人にとってはかなり少なくてひもじく感じるのかな。
結局綿子さんは栗おこわを完食した。

綿「ほんま美味しかったわ~」

麦さん、またお願いします!
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昨日の続き

「ところで服は足りとる?あれを持って来て欲しいとかある?」

綿「これ着とったら温いから大丈夫や」

今日は茶色のダウンのベストを着ていた。

「他にもグレーのベストやフリースもあるやろ。交代で着て、洗濯に出してよ」

綿「これ着とったら温いんや」

話がかみ合わない。
洗濯に出せって言うとんや!
ダメだ。
後でスタッフさんに頼もう。

そうしているうちにタイマーがピピピピ・・・・となってしまった。
すぐスタッフさんが来て「はい10分たったので終わりです」と言った。
本当にあっという間だ。
もうちょっと聞きたいことはあったが仕方ない。
出口へと促され向かっていると綿子さんもついてきた。
歩きながら

「綿子さん、化粧水とか持ってこようか?」

綿「そうや。欲しかったんや。ここでは風呂から出ても何もつけてないんや。持って来てくれるんな。良かった~。けどクリームはもうあんまりなかったと思うわ」

「そうなん?そしたら見てみるわ」

綿「良かった~。ありがとなぁ」

ロビーとの境のところに着いた。
綿子さんはホールから出られない。

「ほなばあさん、また来るわ」

綿「ほうか。ありがとのぉ」

涙ぐんでいる。
けれど一緒に帰るとは言わなかった。
やはり覚悟ができているのだろう。
なんだか全ていい方向に転がっているようだ。
こんなに穏やかな日々が送れるようになるとは。
本当に良かった。
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日曜日、午前の便で典さんが帰って行った。
駅までかつおさんと綿子さんが見送りに行った。
綿子さんは涙を流して別れを惜しんでいたそうだ。

そしてその日の昼から梅ちゃん一家がお参りに来たのだった。
実は当日の朝、梅ちゃんから「今日の午前中にお参りに行きたいんやけど」と連絡があったのだが「午前中は忙しいから午後からにして欲しい」と断ったそうだ。

そして昼からずーっと待っていたのだがなかなか来ない。
やっと来たのは3時半を回った頃だった。
綿子さんはなかなか来ない梅ちゃん一家に「いつになったら来るんやろか!果物剥いて用意したのに色が変わってしまうわ!」とイライラしながら待っていた。
来たら来たで楽しそうにな話がはずんでいたのだが。

そして4時半ごろ突然ガラガラと玄関を開けて人が入って来た。
翔ちゃんだった。

今回翔ちゃんはお盆も仕事で今日も出張だった。なので帰省はしないと聞いていた。
が、仕事が早く終わったので出張帰りに寄ったそうだ。
綿子さんは思いがけない来客にまたまた涙ぐんで喜んだ。
ぽっと出もどりまん

今日は1日、泣いたり、笑ったり、怒ったりと喜怒哀楽のフルコースだ。
とても疲れたことだろう。
でもそのおかげで典さんが帰ったダメージが薄れたようだ。
この日は早々に寝ていた。
綿子さん、お疲れ様。



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