かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(92歳)と綿子さん(89歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:点呼

なんとかチーズタルトを食べ終え落ち着いたらまた点呼が始まった。

「おまえは秀夫かの?」

「かつおや」

「ほうか。そっちは誰かの?」

「翔平や」

「翔平?」

「じいさんの孫やが」

「おお!翔平か!よう来てくれたのぉ。おまえナンボになったんや?」

「32や」

「そっちはお前の嫁さんか?」

おいおい!そんなわけあるかい!

「違う!違う!わたしはかつおさんの嫁やで!」

「ほうか。そしたらお前の嫁は?」

「おらんわ」

「ええっ!!おらんのか!!それはイカン!!」

茂造さんの常識からするととても良くないことなのだろう。
翔ちゃん今日は厄日やな。
父にも茂造さんにも痛いところをつつかれてお気の毒さま。
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1月1日 水曜日

今日は令和7年1月1日元日。
久しぶりに茂造さんが家に戻る。
綿子さんは残念ながらコロナの感染対策のため今回は我慢してもらった。

ハルちゃん&ゆうくんそして翔ちゃんも駆けつけてくれた。
翔ちゃんは帰宅するのは茂造さんだけと聞いて「何やじいさんだけか。それならわざわざ来るんじゃなかった」とぼやいた。
年末に急きょ予定変更になったので翔ちゃんには綿子さんが帰って来ないことが伝わってなかったのだ。
けどそんな事を言うとは思ってなかったのでわざわざ伝えなくてもいいかと思っていた。
でも翔ちゃんもひろ子さんと一緒で茂造さんに会うのはもういいかという心境なのだろう。
そりゃ自分のことを忘れてしまっている人に会ってもしょうがないよね。
気持ちは分かる。
だってわたしも同じだもの。
茂造さんの中にわたしの存在はない。
だからといって面倒を見ないという事はできないが。

朝、10時過ぎかつおさんがいぶきの森から茂造さんを連れて戻ってきた。
帰ってきた途端、賑やかだ。
「ここわしの家か?」「あっここは覚えとる!」「こんなんやったかのぉ?」「やっと帰ってこれたがー!!」
ずーっと喋っている。

一旦ソファーに座らせると「あんた誰な?」と点呼が始まった。
答えてもすぐ忘れてエンドレスなので疲れる。

一休みしたら仏壇へ連れて行った。

「おーこれは覚えとるぞ!なんか思い出してきた!!」

それは何より。
それより早くお昼ご飯の用意をしなくては。
そうしないと無限ループが終わらない。

かつおさんとわたしとハルちゃんとで準備をした。
その間翔ちゃんが茂造さんの相手を務めた。
一人じゃ大変だろう。
急がないと。

とりあえず茂造さんの分は用意できたので食卓へ案内した。
今日のメインはウナギだ。
ウナギはフライパンで温めるのだけど一度に全部はできない。
温まったものから先に食べてもらう。
茂造さんの前にうな丼を出した。

「ウナギか!おお~こらええ!!」

全く躊躇なく食べ始めた。
前に家に戻った時は「皆が揃うのを待たないかんのや」と言って皆を驚かせたのに、やっぱり元の茂造さんだった(笑)
他の人の事は気にも留めず一人バクバク食べた。

「美味いのぉー!!」

それは良かった。
ウナギの他にもお正月っぽく数の子やなますや黒豆、あと茶碗蒸しも出したがペロッと食べてしまった。
凄い食欲だ。
食べすぎるとおなかが痛いと言い出すので全て茂造さんの分として小皿に盛って出している。
大皿で出すのは厳禁なのだ。
しかしまだ物足りないようだ。
第二段で温め終わったウナギを物欲しそうに眺める。

「おかわりいる?」

「おう!くれ!」

「そしたらちょっとだけで」

2切れほどをお皿に取ってあげるとても嬉しそうに食べた。

「まだそこにあるのぉ」

「あれはダメやで。あれはかつおさんの分やで」

「ほうか~」

あっさり引きさがった。
ホッ。

続く
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昨日の続き

茂造さんが「腹が減ったのぉ」と言い出したのでスイカを出した。
「美味いのぉ」と美味しそうに食べる。
スイカなら水分も取れて一石二鳥だ。

そうしているとひろこさんがやって来た。
仏壇のお参りをすませ茂造さんのもとへ。

ひ「お義兄さんご無沙汰してます。お元気ですか?」

「あんた誰な?」

ひ「ひろこです。秀夫さんの嫁のひろこです」

マスクを外して顔を見せた。

「おお!ひろこさんな!秀夫んとこのな!よう来てくれたなぁ」

おっ⁉分かったのか?
やはり若い頃の記憶は比較的出てきやすいようだ。
ひろこさんが秀夫さんの奥さんだという事はスッと分かる。
しかし目の前の人がひろこさんだという事はすぐ分からなくなる。
暫くするとまた「あんた誰かな?」と尋ねていた。

ひ「ひろこです」

ひろこおばさんも茂造さんの点呼に付き合わされている。
申し訳ない。

ひろこさんにお茶と茶菓子を出した。
さっきスイカを食べたばかりの茂造さんにはあまり食べさせたくないがひろこさんにだけ出すと欲しがるのは目に見えている。
なので茂造さんにも出したら茶菓子のまんじゅうに夢中になり少し静かになった。
子どもかよ!!

そうしていると梅ちゃん一家がやって来た。
梅ちゃんと旦那さんと一人息子のタケちゃんが揃ってお参りに来られた。
三人がお参りをすませた後、リビングでみんなで談笑した。
久しぶりに大勢が揃って嬉しいのだろう、茂造さんはひたすら喋り続けた。
相変わらずみんなの点呼に余念がない。
そして昔のことをいっぱい話す。

「あんた誰かな?」

梅「梅やがな、兄ちゃん」

「おお梅ちゃんか!元気か?あんた誰かな?」

松「松男です」

「梅ちゃんのだんなやの!あんた誰かな?」

タケ「タケオです」

「おお~タケオか~。よう来たのぉ」

一応関係性は分かるようだ。
けどやはり目の前の人が誰かは分からなくなる。

「わしの兄弟は4人や。秀夫と梅子ともう一人おったのぉ」

好「花さんやん」

「おお!そうや!あれは横浜におるんやのぉ」

ところどころちゃんと憶えている。

「そうや〇〇にもおったがのぉ?誰やったかの?」

梅「それは私や」

「おおそうか」

またしばらく昔の話をする。
小さい頃のことや為五郎の事や兄弟との思い出を話す。
そして

「梅ちゃんは今どこにおるんやろか?」

梅「ここや!」

みんな大爆笑だ。
まるで漫才を見ているようだ。
梅ちゃんはさっきからずっと茂造さんの隣に座っている。

梅ちゃんたちやひろこさんにも茂造さんがかなりボケてしまっていることがしっかり伝わったことだろう。
これに懲りずにまた会いに来てくださいね。
syugooo


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昨日の続き

またも茂造さんによる点呼が始まった。
「あんた誰な?」
「かつおや」
「お前はだれかな?」
「翔平や」
「お前は秀夫やろ?」
「違うわ、かつおや!秀夫は弟やろが」
「そしたらお前は誰や?」
「かつおや。じいさんの息子や」
そんな会話が続いていたのだが今日はそこからちょっと話題が替わった。

「綿子はどこや?田んぼ行っとるんか?」

入所して以来、今まで茂造さんの口から綿子さんの名前が出たことは無かったので驚いた。
どうしたんだ?
急に思い出したのか?

「病院や。入院しとるわ」

「どこが悪いんや?」

「また骨折ったんや」

「ええ!また骨折ったんか?⁉」

「そうや、だから病院におるんや」

「どこの病院や?またいっぺん連れて行ってくれ」

まさかこんな事は言い出すとは⁉
綿子さんのことを聞かれるとは思っても無かったので打ち合わせはしていなかった。
翔ちゃんとハルちゃんが機転を利かせてくれた。
同じ施設にいる事は絶対に知られてはいけない。
ま、なんとかかわせたようだ。

そして茂造さんは昔の話を始めた。

「わしのじいさんはええ人やった。わしを大事にしてくれたんや。オヤジには怒られるばっかりやった。しょっちゅうまな板みたいな板で頭をどつかれとったんや。だからわしの頭はへこんどるんや」

別にへこんではないと思うが…。
それにしてもやはり為五郎はクソエピソードしか出てこない。
ろくな人間じゃなかったようだ。
為五郎はクズ


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7月27日 土曜日

今日は茂造さんの92歳のお誕生日!!
おめでとう!!
という事で家に連れて帰ってお祝いを!
10時半ごろかつおさんと翔ちゃん(朝から駆けつけた)で茂造さんを迎えに行った。
わたしとハルちゃんとで茂造さんちで迎える準備だ。
今日のお昼ご飯には近所の食堂で鰻入りのお弁当を買ってきた。
それと大好物のショートケーキも用意した。
これでバッチリだ。

茂造さんは家に着くなり大きな声で「ここは覚えとる!」とか「あぁ思い出した!」と記憶の確認に忙しい。

「やっと家に帰って来れたが~。何年あそこで居ったんかのぉ?」

イヤイヤ、外出しただけで夕方には戻るんやで!
まさかもうずっとここにいるつもりじゃないよな?
恐ろしい事を言わないでほしい。

そしていつものようにわたし達の点呼が始まった。

Ⓐ「あんた誰な?」
「かつおや」
「あんた誰な?」
「好子や」
「あんた誰な?」
「翔平や」
「あんた誰な?」
「ハルや」
Ⓐに戻る

延々ループだ。
聞いたそばから忘れてしまう…。
ま、とにかくお昼にしよう。

テーブルに着いた茂造さんの前にお弁当を置くと「おお~美味そうや~」と目を輝かせた。
そして目の前に座っている翔ちゃんに向かって「ビール無いんか?」と言い出した。

「ない!」

「なんで用意してないんや!ビールか酒は無いんか?飲みたいが!」

まさかアルコールを欲しがるとは⁉
入所してからお酒は飲んでいないし、入所前もほとんど飲まなくなっていたのに。
それに飲ませるのは施設的にNGだろう。
実は目の前で翔ちゃんは缶ビールを飲んでいた。

「お前それ何飲んどんや?」

「ジュースや」

「ほうか。酒と違うんか」

騙されてくれた。
ホッとした。
そしてコップにお茶を注いでみんなで乾杯した。

「じいさん誕生日おめでとう!」

「わしの誕生日は7月17日や」

「いやいや違うやん。27日やが。今日やで」

「ほうか?」

相変わらず17日が誕生日だと思っている。
なかなか修正できないようだ。

茂造さんは黙々とお弁当を食べた。
時々「美味いのぉ!」と言う。
施設ではずっと喋りながら食べているらしいのに今日はどうしたんだ?
あまりの美味しさに口数が減っているのだろうか?
このお弁当、施設で食べている量に比べるとはるかに多い。
なので「無理して食べきらんでええからな。残してええんで」と声をかけた。
が、どんどん食べる。
食べすぎでは?大丈夫か?心配になる。
ほぼほぼ食べ終わったが鰻は残っていた。
もしかして鰻は嫌いだったのか?
けど心配は無用だった。
最後に美味しそうに食べた。
好きなものは取っておくタイプなのね。
そして完食してしまった。
これでいつものように昼寝に行くだろう。

「じいさん、寝るか?」

「おう、疲れたから寝るわ」

ベッドへ誘導し寝かせた。
やれやれ、やっと一息つけると思ったら茂造さんはすぐ起きてきた。

「どうしたん?」

「せっかくやからみんなのとこにおるわ」

マジか⁉
こんなことを言い出したのは初めてだ。
茂造さんをリビングに連れて行った。
そしてまたも点呼が始まったのだった。
一休みさせてくれ!!
ひとりでいけよ

続く

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