かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(93歳)と綿子さん(91歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:無限ループ

そうこうしていると庭に車が入って来る音が聞こえた。
茂造さんが到着したようだ。
わたしは急いで車まで迎えに行った。
その時の綿子さんの様子についてあとでハルちゃんから聞いたのだが、わたしが「あっ、茂造さんが帰って来たようや」と部屋を出た途端、スクっと立ち、サーっと台所へ行ってしまったそうだ。
やれやれ。

一方、茂造さんは車から降り、玄関へ向かいながら
「これは覚えとる!この扉も覚えとる!」
なんだがテストをしているようだ。
転ぶといけないので腕を取って寄り添っているのだが、本当にとても痩せていてガリガリだ。
けれど声は大きく張りがあって元気そのもの。
ずーーーーっと喋っている。
とりあえず綿子さんと同様、手すりを付けたリビングの上り口から部屋に上がってもらい、ソファに座って一休みだ。
これだけ歩くだけでも大変そうだ。
しかしすぐに「お~この部屋は覚えとる!」
そしてまた周りの人を見て「あんた誰かな?」と点呼を繰り返す。

「かつおや」

「ほうか、かつおか。あんたは誰な?」

「かつおの嫁や」

「名は何いうんな?」

「好子や」

「好子さんな。あ~思い出した。好子さんな。あんた誰かな?」

「かつおや」

無限ループだ。

そして「ちょっと仏壇参るわ」と言い出した。
色々忘れても仏壇をお参りすることは忘れない。
やっぱり信心深いんだなぁと感心する。
こういった姿を見ると以前茂造さんが独り言でつぶやいていた言葉を思い出す。
※その時の言葉は下のリンク参照

それにまだ元気で自転車に乗っていた頃はほぼ毎日お寺にお参りに行っていたっけ。
茂造さんにとって先祖や神仏を大事にするという事はとても重要な事なのだろう。

仏壇を参った後、またリビングに戻りソファーに腰かけ一息ついた。
そしてまた「あんた誰な?」と点呼が始まった。
すると賑やかなリビングが気になったのか綿子さんが寄ってきた。
茂造さんが綿子さんを指さして「これは誰な?」と言った。

「綿子さんやで」

「綿子?」

「茂造さんの奥さんやん」

「おお!綿子か!わしの嫁や」

「思い出した?」

「おお、そうや綿子や」

綿子さんは驚いたような複雑そうな顔をしていた。
そしてまた茂造さんはかつおさんに向かって

「お前は秀夫やろ?」

「違うわ!かつおや!」

「ほうか。これは誰な?」

「好子やで」

「これは誰な?」

「綿子さんやがな」

「おお、そうやった」

綿子さんはますます複雑そうな顔になっていった。

よく考えると茂造さんが昨年3月にいぶきの森に入所して以来、綿子さんは面会にもいかず、ほとんど茂造さんには会ってなかった。
その前の2月に綿子さんが入院してしまってからほぼ会っていない。
昨年10月末と12月の初めに茂造さんを家に連れて帰って来た時に会った2回だけだ。
その時はまだ綿子さんのことをかろうじて覚えていたと思う。
その時だって綿子さんは茂造さんをなるべく避けるようにしていたので忘れられても仕方ないよなって思う。
綿子さんも茂造さんの現状を把握できてなかったのだろう。

茂造さんが居ないところで
「じいさん、あんな風になっとったんやのぉ…」とつぶやいていた。
自分の事を忘れてしまっていることに結構ショックを受けているように見えた。

「そうや、だからいぶきの森の中で会うてもばあさんのことや分からへんと思うぞ。4階まで押しかけてや来んわ!」

綿「・・・・」

ショックを受けている綿子さんに追い打ちをかけるかつおさんだった。
それはそれ、これはこれ


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次の日の金曜日、本来なら二人ともデイサービスに通う日だが綿子さんはさくら苑でコロナが出たため休みだ。

綿「今日はわたし休みやけど、そのことはじいさんには言わんのや」

「なんでや?」

綿「わたしが行かんって言うたら、じいさんまで行かんって言い出すに決まっとるから言わんのや」

「じいさんはそんなこと言わへんわ」

綿「いいや、じいさんは嫌々行っとるから自分も休むって言うはずや」

茂造さんが嫌々デイサービスに通ってるって?
いったいどこを見たらそんな発想になるんだ?
茂造さんはデイに行くのをとても楽しみにしているではないか。

「明日はデイに行かないかん!」

これは茂造さんの口癖だ。

「明日は日曜やから休みやで」

「ほうか」

しばらくすると

「明日はデイに行かないかん!」

無限ループなのだ。

『行かないかん』という言い方のせいで嫌々行っているように聞こえるが本当はとても楽しみにしているのは見ていれば分かる。
それに本当に嫌々通っているのなら茂造さんのことだ、嫌なら嫌だとハッキリ言うし絶対に行かないだろう。

綿子さんは長年茂造さんと暮らしてきたのにそんなことも分からないのだろうか?
茂造さんのことが嫌いだから興味がないから分からないのだろう。
今更言ってもしょうがないが二人の仲がもっと良ければわたし達の負担ももっと減るのにと思う。
なんだかさみしいなぁ。
まあたしかに



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綿子さん、今年6月にも自転車で転んで骨盤を骨折してみどり整形に入院していた。
家で安静にする約束で9月の半ばに退院してきた。
しかし約束が守られるわけもなく
退院したその日から精力的に動き回っては痛みが増し、リハビリに通うという意味が分からない状況となっていた。

今回もリハビリを受けに病院に向かっていて自転車ごと水路にボテこんでケガをしたらしい。
(かつおさんが自転車にはもう乗るなと散々言っているのだが全く聞く耳を持たない)

幸い打撲のみで骨折はしていなかった。

”水路ってどこだ?”のナゾは意外とシンプルだった。家から病院までの道中ではなく、病院を越えた場所だった。
綿子さんいわく「間違えて行き過ぎてしもうたから曲がっとったら水路に落ちこんだ」とのこと。

とにかく病院のすぐそばで良かった。
それに優しい方(どこの誰だかわからない💦)が助けてくださって良かった。
本当にありがとうございました。



いつもの入院パターン
※これを無限に繰り返す…


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