そうこうしていると庭に車が入って来る音が聞こえた。
茂造さんが到着したようだ。
わたしは急いで車まで迎えに行った。
その時の綿子さんの様子についてあとでハルちゃんから聞いたのだが、わたしが「あっ、茂造さんが帰って来たようや」と部屋を出た途端、スクっと立ち、サーっと台所へ行ってしまったそうだ。
やれやれ。
一方、茂造さんは車から降り、玄関へ向かいながら
「これは覚えとる!この扉も覚えとる!」
なんだがテストをしているようだ。
転ぶといけないので腕を取って寄り添っているのだが、本当にとても痩せていてガリガリだ。
けれど声は大きく張りがあって元気そのもの。
ずーーーーっと喋っている。
とりあえず綿子さんと同様、手すりを付けたリビングの上り口から部屋に上がってもらい、ソファに座って一休みだ。
これだけ歩くだけでも大変そうだ。
しかしすぐに「お~この部屋は覚えとる!」
そしてまた周りの人を見て「あんた誰かな?」と点呼を繰り返す。
か「かつおや」
茂「ほうか、かつおか。あんたは誰な?」
好「かつおの嫁や」
茂「名は何いうんな?」
好「好子や」
茂「好子さんな。あ~思い出した。好子さんな。あんた誰かな?」
か「かつおや」
無限ループだ。
そして「ちょっと仏壇参るわ」と言い出した。
色々忘れても仏壇をお参りすることは忘れない。
やっぱり信心深いんだなぁと感心する。
こういった姿を見ると以前茂造さんが独り言でつぶやいていた言葉を思い出す。
※その時の言葉は下のリンク参照
それにまだ元気で自転車に乗っていた頃はほぼ毎日お寺にお参りに行っていたっけ。
茂造さんにとって先祖や神仏を大事にするという事はとても重要な事なのだろう。
仏壇を参った後、またリビングに戻りソファーに腰かけ一息ついた。
そしてまた「あんた誰な?」と点呼が始まった。
すると賑やかなリビングが気になったのか綿子さんが寄ってきた。
茂造さんが綿子さんを指さして「これは誰な?」と言った。
好「綿子さんやで」
茂「綿子?」
好「茂造さんの奥さんやん」
茂「おお!綿子か!わしの嫁や」
好「思い出した?」
茂「おお、そうや綿子や」
綿子さんは驚いたような複雑そうな顔をしていた。
そしてまた茂造さんはかつおさんに向かって
茂「お前は秀夫やろ?」
か「違うわ!かつおや!」
茂「ほうか。これは誰な?」
好「好子やで」
茂「これは誰な?」
好「綿子さんやがな」
茂「おお、そうやった」
綿子さんはますます複雑そうな顔になっていった。
よく考えると茂造さんが昨年3月にいぶきの森に入所して以来、綿子さんは面会にもいかず、ほとんど茂造さんには会ってなかった。
その前の2月に綿子さんが入院してしまってからほぼ会っていない。
昨年10月末と12月の初めに茂造さんを家に連れて帰って来た時に会った2回だけだ。
その時はまだ綿子さんのことをかろうじて覚えていたと思う。
その時だって綿子さんは茂造さんをなるべく避けるようにしていたので忘れられても仕方ないよなって思う。
綿子さんも茂造さんの現状を把握できてなかったのだろう。
茂造さんが居ないところで
「じいさん、あんな風になっとったんやのぉ…」とつぶやいていた。
自分の事を忘れてしまっていることに結構ショックを受けているように見えた。
か「そうや、だからいぶきの森の中で会うてもばあさんのことや分からへんと思うぞ。4階まで押しかけてや来んわ!」
綿「・・・・」
ショックを受けている綿子さんに追い打ちをかけるかつおさんだった。

↓ポチッと押して頂けると喜びます\(^^)/

にほんブログ村

茂造さんが到着したようだ。
わたしは急いで車まで迎えに行った。
その時の綿子さんの様子についてあとでハルちゃんから聞いたのだが、わたしが「あっ、茂造さんが帰って来たようや」と部屋を出た途端、スクっと立ち、サーっと台所へ行ってしまったそうだ。
やれやれ。
一方、茂造さんは車から降り、玄関へ向かいながら
「これは覚えとる!この扉も覚えとる!」
なんだがテストをしているようだ。
転ぶといけないので腕を取って寄り添っているのだが、本当にとても痩せていてガリガリだ。
けれど声は大きく張りがあって元気そのもの。
ずーーーーっと喋っている。
とりあえず綿子さんと同様、手すりを付けたリビングの上り口から部屋に上がってもらい、ソファに座って一休みだ。
これだけ歩くだけでも大変そうだ。
しかしすぐに「お~この部屋は覚えとる!」
そしてまた周りの人を見て「あんた誰かな?」と点呼を繰り返す。
か「かつおや」
茂「ほうか、かつおか。あんたは誰な?」
好「かつおの嫁や」
茂「名は何いうんな?」
好「好子や」
茂「好子さんな。あ~思い出した。好子さんな。あんた誰かな?」
か「かつおや」
無限ループだ。
そして「ちょっと仏壇参るわ」と言い出した。
色々忘れても仏壇をお参りすることは忘れない。
やっぱり信心深いんだなぁと感心する。
こういった姿を見ると以前茂造さんが独り言でつぶやいていた言葉を思い出す。
※その時の言葉は下のリンク参照
それにまだ元気で自転車に乗っていた頃はほぼ毎日お寺にお参りに行っていたっけ。
茂造さんにとって先祖や神仏を大事にするという事はとても重要な事なのだろう。
仏壇を参った後、またリビングに戻りソファーに腰かけ一息ついた。
そしてまた「あんた誰な?」と点呼が始まった。
すると賑やかなリビングが気になったのか綿子さんが寄ってきた。
茂造さんが綿子さんを指さして「これは誰な?」と言った。
好「綿子さんやで」
茂「綿子?」
好「茂造さんの奥さんやん」
茂「おお!綿子か!わしの嫁や」
好「思い出した?」
茂「おお、そうや綿子や」
綿子さんは驚いたような複雑そうな顔をしていた。
そしてまた茂造さんはかつおさんに向かって
茂「お前は秀夫やろ?」
か「違うわ!かつおや!」
茂「ほうか。これは誰な?」
好「好子やで」
茂「これは誰な?」
好「綿子さんやがな」
茂「おお、そうやった」
綿子さんはますます複雑そうな顔になっていった。
よく考えると茂造さんが昨年3月にいぶきの森に入所して以来、綿子さんは面会にもいかず、ほとんど茂造さんには会ってなかった。
その前の2月に綿子さんが入院してしまってからほぼ会っていない。
昨年10月末と12月の初めに茂造さんを家に連れて帰って来た時に会った2回だけだ。
その時はまだ綿子さんのことをかろうじて覚えていたと思う。
その時だって綿子さんは茂造さんをなるべく避けるようにしていたので忘れられても仕方ないよなって思う。
綿子さんも茂造さんの現状を把握できてなかったのだろう。
茂造さんが居ないところで
「じいさん、あんな風になっとったんやのぉ…」とつぶやいていた。
自分の事を忘れてしまっていることに結構ショックを受けているように見えた。
か「そうや、だからいぶきの森の中で会うてもばあさんのことや分からへんと思うぞ。4階まで押しかけてや来んわ!」
綿「・・・・」
ショックを受けている綿子さんに追い打ちをかけるかつおさんだった。

↓ポチッと押して頂けると喜びます\(^^)/
にほんブログ村



