引き続き20日のこと

わたしが家に戻って直ぐのこと。
かつおさんはわたしの顔を見るなり、ものすごい勢いで喋り始めた。

「ばあさん、進んどるわ」

「進んどるって、何が?ボケが?」

「そう」

「何があったん?」

「今日、みどり整形に支払いに行ったやん。そしたらばあさんがおったんや」

「えっ?おったって、待合室に?」

「そうや。晩御飯の時間やのに、病棟抜け出して降りて来とったんや。ほんでわしの顔見て、ニヤッて笑ったんや。怖かったわー」
エンカウント

「そんなに元気になっとんや。もう大分動けるようになったんやなぁ」

「いや、まだそんなに動いたらイカンって言われとるのに、勝手に動いとるらしいわ。部屋にポータブルトイレも置いてあって、そこでするように言われとるのに勝手にトイレに行っとるらしいわ。ばあさんを探しに来た看護師さんがそう言うとったんや」

「相変わらずやな」

「それで看護師さんが言うには「今はコロナが落ち着いてきたから、申し出てくれたら15分だけ面会できます」やって。そう言うから「これはセッティングですか?」って聞いたんや。そしたら「違います。勝手に降りてきてるんです」って」

「ほんま言う事聞けん人やなぁ」

「ほんでばあさん、わしに何を言うかと思うたら「銭くれ、150円しかないんや」やって」

「お金やどこで使うん?使うとこ無いやん」

「知らんわ。でも受付の前で、周りに人もおったから、もめるのもなんやから2千円だけ渡したんや」

「それでボケが進んどるって思ったん?」

「そうや、勝手にウロウロ徘徊しとるんやで」

「それ、かつおさんが来る頃を見計らって、お金貰おうと思って降りて来たんと違う?」

「えっ?そうやろか?」

「綿子さんの洗濯物を取りに行った看護師さんから、夕方かつおさんが来るって聞いたんと違う?」

「そうか!わしを待ち伏せしとったんか!」

「わたしはそうやと思うで」

「ばあさんならあり得るな!それやったらボケが進んどるんと違うわ。悪知恵が働いとるやん!」

「待ち伏せは得意技やからな!」

「そうや!間違いないわ!」

かつおさんは全く予想もしていない時に綿子さんが現れたので、恐怖で冷静な判断が出来なくなっていたようだ。
ボケが進んで徘徊しているんだと思い、心配していたのだった。
でもちょっと考えたら分かることやん。
大丈夫、ボケは進んでいません。

それにしても綿子さんは全く人の言う事が聞けない。
勝手に病棟を抜け出すなんて以ての外やん。
退院したらまた振り回されそうで今から怖いなぁ。


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