かつおさん家のボケボケ介護日記

はじめまして好子です。アラフィフの会社員です。 高齢の義両親・茂造さん(92歳)と綿子さん(89歳)の介護をする夫・かつおさんのサポートをしております。 ここにグチを吐き出しながら明るく頑張っていきたいと思います。

タグ:耳が遠い

ようやく茂造さんのもとへ。
色々話し込んだのですっかり遅くなってしまった。
ま、遅かろうが早かろうが関係ないんだけどね。

茂造さんはとっくに食事を終え部屋に戻っていた。
ベッドで横になり目を瞑っているが何やらずーーっと独り言を言っている。
デイルームの辺りからずーーっと声が聞こえていたものね。
いつも通りの茂造さんだ(笑)

部屋に入り、ベッドの横のでタンスに着替えをしまったり洗濯物を取ったりしていても全く気付かない。
自分の世界に入り込んでいるのね。
ずーーとブツブツ言っている。

隣のベッドは今日も空だった。
まだデイルームに居るのだろう。
まだわたしは一度も会ったことがない。
耳が遠くて寛容な方だといいなと思う。
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4階のスタッフさんと別れ、どんよりとした気持ちでエレベーターに乗った。
これは相当ヤバそうだ。
実際、調査に立ち会ったスタッフさんがああ言うんだから。
まさか要支援になることは無いとのんきに構えていたけど、もしかしたらもしかするかも。
それだけは勘弁してほしい。

2階に着き、ガラス扉を開けようとしていると畑田マネージャーに会った。

畑「今日、部屋を替わったんです。案内しますね」

と一緒に中に入った。
夕方かつおさんから「じいさん、近々部屋を替わる予定やって」と連絡はもらっていたが、さっそく替わったのね。
要看護が必要な人が入所することになり、詰め所に一番近い部屋、要は茂造さんがいる部屋に入ることになったので茂造さんに移ってもらったとの事だった。
と言う事はその人は耳が遠くないのだろう。

デイルームに茂造さんの姿があり、まだ食事中だった。
その横を通り抜け部屋へ案内してくれた。
新しい部屋は長い廊下の真ん中くらいの場所で、廊下の左側、二人部屋の廊下側だった。
いぶきの森は増築していて旧館と新館をつないでいる。
今度の部屋は旧館の一番端で、廊下は繋がっているが部屋は一方しか隣接していない。
なるほどここならまだマシだろう。
隣の部屋の人はうるさいかもしれないが、隣は一方だけだから。
そして多分相部屋の方は耳が遠いのだろう。
そうじゃなきゃ茂造さんと相部屋にはならないはずだもの。

畑「今日、こちらに替わったところなんです。部屋を替わるって言ったら怒るかなってちょっと心配してたんですけど、あっさり承知してくれたんですよ」

「へぇ~そうなんですね。けど今までずっと同じ部屋だったから覚えるのに時間がかかるかもしれませんね」

畑「そういえばさっき部屋の奥から出てきたようだったので隣の人のベッドで寝てたのかも」

部屋の入口とベッドの手すりに名前を書いた大きな紙が貼ってあった。
けどそんなの見てないよね。
今まで部屋の奥、窓側だったから奥に行っちゃったのだろう。
隣の人に迷惑が掛かるからはやく覚えてね。

「ところで最近、茂造さんの元気がなくてあまり喋らなくなったと聞いたんですが?」

畑「いえ全然そんなことないですよ。よく喋ってます!」

なんだそうなんだ。
良かった。
そういえばこの部屋にいてもデイルームにいる茂造さんの声が聞こえてくる。
一時的に元気がないことがあったということかな?
季節の変わり目だものね。
もう長くないかもと聞いた時は心配したが大丈夫のようだ。
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そうそう、かつおさんから聞いてはいたが、茂造さんの相方が代わっていた。
先々週、訪問した時(喉が痛いというのでわたしは面会しなかった時)には以前の人がいたそうだ。
その後、茂造さんのコロナ感染が判明し、いぶきの森全体で風邪?が流行っているとの事で一週間入浴が中止になったため訪問していなかった。
で、先週も念のためにと面会を控えたので、次に部屋に入ったのはその翌日の洗濯物の回収に行った時だった。
その時、相方が代わっていたそうだ。

以前の人は全くの寝たきりで、定期的な体位交換や痰吸引が必要な方だった。
茂造さんがコロナに感染したから部屋を移ったのかしら?
もしコロナに感染したらヤバそうな人だったもの。
もしかしたらお亡くなりになったのかな。
部屋を替わっただけだといいなと思う。

コロナが5類になって、わたし達が部屋に入れるようになって以降、とにかくこれで4人目だ。(短期の人は除いて)
茂造さんはここに入所して以来ずーっと同じ部屋のままだ。
詰め所のすぐ隣でデイルームにも一番近い。
居室としては端っこだ。
耳が遠くて声がでかく、夜中でもずーーっと独り言を言うので他の人の迷惑にならないように端っこなんだろうと思っている。
で、相部屋の人は基本耳が遠い人だ。
この方も耳が遠いのだろう。
そうじゃなきゃ無理だ。

隣の人はベッドの横に置いてあったパイプ椅子に座ってウトウトしていた。
しょっちゅう痰が絡んで「ヴォー」とか「ゴホッゴホッ」とか擬音を発していた。
茂造さんは気になってないようだ。
うん、これならお互いさまで大丈夫そうだ。
良かった。
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昨日の続き

せっかく畑田さんにお会いできたので聞いてみよう。

「茂造さんの隣の方また居なくなってましたね」

畑「この間からよく代わるでしょう」

​好「そう、日曜日に来た時はいらしたのに」

畑「茂造さんは独語があるでしょ。あれがずっとラジオが鳴ってるみたいだっておっしゃって。それで他の部屋に移ってもらったんです。そしたらそこではその方がもともと居た方の荷物を触るんでこれまた違う部屋に移動になったんですよ」

いろいろ部屋の調整も大変なのね。

畑「その方の前にもショートステイの方が入ったりとかしてましたから出入りが多かったんです」

そうだったんだ。

​好「いえね、茂造さん独り言が凄いから。大きな声で延々喋るから同室の方にご迷惑だろうなぁと思いまして。ほんと申し訳ありません」

畑「もう次に入る方は決まってるんですよ。ちょっと先なんですけどね。その方は耳元で大きな声で話しかけないといけない方だから大丈夫だと思います」

​好「それなら良かったです。」

やはり同室になる人は耳が遠くなくっちゃね。
だって茂造さんの独り言は止められないもの。
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9月9日 月曜日

今日も仕事の帰りにいぶきの森へ。
今日は茂造さんの洗濯物を回収するだけなのでとっても気が楽だ。
途中、ちょっと買い物に寄ったのでいぶきの森に着いたのは6時前だった。
2階に上がるともう食事は終わったようでデイルームは人がまばらだった。
茂造さんの姿は無かった。
もう部屋に戻ったんだろう。
ガラス扉を開けて中に入ると茂造さんの声が聞こえてきた。
姿は見えないが声が大きいのですぐわかる。
部屋に入ると照明をつけていないので薄暗い。
茂造さんはベッドで横になっていたがひたすら喋っていた。

「残さんと全部食べないかんのや。あとで腹が減ってもなんも食べられんのやから。ある時に食べとかな。ほぜくりかえしたもんもや。茶碗にの中をほぜくりかえしたのもちゃんと食べないかん。ズボンの上に落ちたのも拾って食べるんや。あ~~腹減ったの~~」

腹減ったってついさっき夕食食べたとこでしょうが。
今日のテーマは食事のようだ。
とにかく延々としゃべり続けている。
聞いていると面白くて吹き出しそうになる(笑)
隣のベッドの人は口を開けて寝ていた。
よくこんなうるさいところで寝られるもんだ。
やっぱり耳が遠いのだろう。

部屋を出るとスタッフさんが「いつもありがとうございます」と声をかけてくれた。

「いえいえ、こちらこそお世話になってありがとうございます。茂造さん、ひたすら喋ってますねぇ」

ス「そうなんです。この間、私が夜勤の時も一晩中喋ってたんですよ。あの日は寝てないんじゃないかな(笑)」

「どうもすいません」

ス「いえいえ、大丈夫ですよ」

「けど相部屋の方に悪くって」

ス「それは大丈夫です!」

スタッフさんはきっぱりと言い切った。
やはり耳が遠いのだろう。
そうじゃなきゃ寝れないよね。
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