2月21日、火曜日
火曜日は二人ともデイサービスが休みで家に居る。
なのでちょこちょこ見守りカメラを覗く。
午前中は台所で何やら料理をしている綿子さんが映っていた。
午後からは仕事が忙しくてカメラを覗く暇がなかった。
なので仕事を終え、帰宅する前にカメラを覗いてみた。
二人は台所に居た。
茂造さんは立ったまま晩御飯を食べている。
なぜか最近、立ったまま食事をする事が増えた。
そして綿子さんも立ったままだ。
なんだか様子がおかしい。
テーブルに手をつき、ハアハアと肩で息をしている。
そして「痛うていかんのや。食べられんかも知れんわ。ちょっと横になるわ」と言って部屋に引っ込んでいった。
茂造さんはおかまいなしでひたすら食べ、自分でお茶を淹れて「熱いが!」とブツブツ言いながら飲んでいる。
しばらくすると満足したのか、食べ散らかしたまま部屋へ戻って行った。
やれやれ。
それにしても綿子さんは大丈夫だろうか?
今日も天気が良かったから外に出てゴゾゴゾしていたのだろう。
ひょっとして転んだんだろうか?
家に戻り、かつおさんにさっきの綿子さんの様子を伝えた。
かつおさんも「どうせまた歩いて買い物にでも行ったんやろ」と言っていた。
そんな話をしながらまた見守りカメラを見ると、宅配弁当の入っていた発泡スチロールの箱を小脇に抱え、玄関から出て行く綿子さんの姿が映っていた。
しっかりした足取りだ。
大丈夫そうだ。
そう思っていたら「ピーンポーン」、チャイムが鳴った。
か「ばあさんかな?」
好「そうやろ」
かつおさんが玄関に向かった。
玄関のドアを開けると死にそうな顔をした綿子さんが立っていた。
綿「腰から上が痛うていかんのや。痛うて寝られへんのや。病院に連れて行ってくれんかの」
か「どしたんや?こけたんか?また歩いて買い物に行ったんか?」
綿「どこも行っとらへん。打ってもないし、こけてもない。なんか急に痛うなったんや」
そう言いながら震えていたそうだ。
かつおさんもさすがに心配になった。
か「明日、会社休んで病院に連れて行ってやるわ。今日はもう寝とけ。それより、こんなんやのに何で電話してこんのや」
綿「お前が居るか分からんから」
珍しく杖をついてヨロヨロしているので家まで送って行った。
スキップをしながら家に戻ってきたかつおさん、ニッコニコしながら「入院かな?」と言う。
久しぶりに入院もいいかも。
その間骨休みができる。
綿子さんには悪いがかなり嬉しい。
けれど綿子さんの場合、アカデミー賞女優ばりに演技が上手いからな。
なので本当にとっても痛いのか、少し痛いだけなのにオーバーに言っているのか分からないところがある。
以前、畑で転んで背中を強打したことがあった。
「痛くて寝れないから病院へ連れて行ってくれ」と言い出した。
この時も歩きかねる様子で、今にも死にそうな顔をしていた。
その日は日曜日だったので、当番医を調べて連れて行ったのだが、診察の結果、「どこも折れてないし、ヒビも入ってないですよ」と言われたのだった。
すると帰宅早々、畑に行ってクワをふり始めたのだった。
何やそれ!痛うて寝られんのでなかったんかい!
『病は気から』を見せつけられた。
こういった事はちょくちょくあるので、わたしたちは綿子さんの言葉を100%信用することが出来ないのだ。
明日、病院で診てもらったら本当のことが分かるだろう。

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なのでちょこちょこ見守りカメラを覗く。
午前中は台所で何やら料理をしている綿子さんが映っていた。
午後からは仕事が忙しくてカメラを覗く暇がなかった。
なので仕事を終え、帰宅する前にカメラを覗いてみた。
二人は台所に居た。
茂造さんは立ったまま晩御飯を食べている。
なぜか最近、立ったまま食事をする事が増えた。
そして綿子さんも立ったままだ。
なんだか様子がおかしい。
テーブルに手をつき、ハアハアと肩で息をしている。
そして「痛うていかんのや。食べられんかも知れんわ。ちょっと横になるわ」と言って部屋に引っ込んでいった。
茂造さんはおかまいなしでひたすら食べ、自分でお茶を淹れて「熱いが!」とブツブツ言いながら飲んでいる。
しばらくすると満足したのか、食べ散らかしたまま部屋へ戻って行った。
やれやれ。
それにしても綿子さんは大丈夫だろうか?
今日も天気が良かったから外に出てゴゾゴゾしていたのだろう。
ひょっとして転んだんだろうか?
家に戻り、かつおさんにさっきの綿子さんの様子を伝えた。
かつおさんも「どうせまた歩いて買い物にでも行ったんやろ」と言っていた。
そんな話をしながらまた見守りカメラを見ると、宅配弁当の入っていた発泡スチロールの箱を小脇に抱え、玄関から出て行く綿子さんの姿が映っていた。
しっかりした足取りだ。
大丈夫そうだ。
そう思っていたら「ピーンポーン」、チャイムが鳴った。
か「ばあさんかな?」
好「そうやろ」
かつおさんが玄関に向かった。
玄関のドアを開けると死にそうな顔をした綿子さんが立っていた。
綿「腰から上が痛うていかんのや。痛うて寝られへんのや。病院に連れて行ってくれんかの」
か「どしたんや?こけたんか?また歩いて買い物に行ったんか?」
綿「どこも行っとらへん。打ってもないし、こけてもない。なんか急に痛うなったんや」
そう言いながら震えていたそうだ。
かつおさんもさすがに心配になった。
か「明日、会社休んで病院に連れて行ってやるわ。今日はもう寝とけ。それより、こんなんやのに何で電話してこんのや」
綿「お前が居るか分からんから」
珍しく杖をついてヨロヨロしているので家まで送って行った。
スキップをしながら家に戻ってきたかつおさん、ニッコニコしながら「入院かな?」と言う。
久しぶりに入院もいいかも。
その間骨休みができる。
綿子さんには悪いがかなり嬉しい。
けれど綿子さんの場合、アカデミー賞女優ばりに演技が上手いからな。
なので本当にとっても痛いのか、少し痛いだけなのにオーバーに言っているのか分からないところがある。
以前、畑で転んで背中を強打したことがあった。
「痛くて寝れないから病院へ連れて行ってくれ」と言い出した。
この時も歩きかねる様子で、今にも死にそうな顔をしていた。
その日は日曜日だったので、当番医を調べて連れて行ったのだが、診察の結果、「どこも折れてないし、ヒビも入ってないですよ」と言われたのだった。
すると帰宅早々、畑に行ってクワをふり始めたのだった。
何やそれ!痛うて寝られんのでなかったんかい!
『病は気から』を見せつけられた。
こういった事はちょくちょくあるので、わたしたちは綿子さんの言葉を100%信用することが出来ないのだ。
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