綿子さんがちびちびとチーズ蒸しケーキを食べている時、かつおさんが質問をした。

「ばあさん、今日は何の日か知っとるか?」

綿「さあ?何かあったかのぉ?今日は27日やろが」

「そうや」

綿子さん、日にちはちゃんと把握できている。
毎日テレビの番組表を見ているからかな?
しかし暫く考えていたが今日が何の日か分からない様子。

「今日はじいさんの誕生日やないか」

そういうかつおさんだって、さっきわたしが言うまで忘れていたことは内緒(笑)。

綿「あっ!そうや。そうやったわ」

「93歳になったが」

綿「ほやのぉ。じいさんの誕生日やすっかり忘れとったわ」

「まあ長いこと会うてないもんな。ま、お盆には多分会えると思うで」

よく考えたらお正月はコロナ騒動があったため茂造さんだけ連れて帰って、綿子さんはずらして1月後半に連れて帰ったから二人が会うことは無かった。
そして1月以来二人とも家に連れて帰ったことは無い。
正月より前に連れて帰ったのは去年のお盆だ。
が、この時も茂造さんのみ。
綿子さんは骨折してまだ回復途中だったので外出できなかったのだ。
なので二人が顔を合わせたのは5月のゆうくんの名付けのお祝いの時が最後だと思う。
(一度、いぶきの森のリハビリ室で遭遇したことはあったけど、茂造さんは綿子さんのことがわからなかった)
※その時の話はこちら


もう一年以上も会ってないのね。
今度のお盆には二人を連れて帰ろうと思っている。
内心、めんどくせえなぁとは思うがいぶきの森の方からもプッシュされているので実行する予定だ。

しかし綿子さんは

綿「いや、会わんでええわ」

だそうだ。
これだけ離れていたのにまだ会いたい気持ちは沸いて来ないのね。
今日だって茂造さんの誕生日をすっかり忘れていたけどそれを悔やむ様子は全くない。
なんだか悲しい夫婦だなぁ。
ま、綿子さんは会いたくないと言っても別の日に連れて帰るのはゴメンなので、嫌でも会う事になるんだけどね。

綿「それよりじいさんは私がここに居ること知らんのやろ?」

「そやで。知らんで」

綿「それなら良かった。じいさんが知ってここに押しかけて来るようになったら困るからな」

だ・か・ら!
それは無いって!

「それは大丈夫やで。リハビリ室で会うても綿子さんやって気が付かんかったやろ」

綿「いや~でも~」

なんで茂造さんが押しかけて来ると頑なに信じてるんだ。
茂造さんは自分に会いたいはずだと信じて疑わないのはなぜ?
自己評価高すぎん?
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